データ参照日:2025年10月〜11月
冒頭サマリ(結論)
「たわらノーロード 先進国株式」は、日本を除く先進国の株式市場に幅広く分散投資できる低コストのインデックスファンドです。米国株式を中心に欧州・カナダ・オーストラリアなど23カ国の先進国に投資し、MSCIコクサイ・インデックスをベンチマークとしています。
このファンドは以下のような方に向いています:
- 日本株以外の先進国株式に分散投資したい方
- 米国株式を中心としつつも地域分散を図りたい方
- 低コストで長期投資を行いたい初心者〜中級者
- 新NISA・iDeCoでの積立投資を検討している方
信託報酬は年率0.09889%(税込)と業界最低水準で、購入時手数料も無料(ノーロード)のため、長期保有によるコスト削減効果が期待できます。ただし、投資先の約7割が米国株式であるため、米国市場の動向に大きく影響される点には注意が必要です。
商品概要(目的・特徴)
「たわらノーロード 先進国株式」は、アセットマネジメントOneが運用する公募株式投資信託です。MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指すパッシブ運用型のインデックスファンドです。
主な特徴
- ベンチマーク:MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)
- 投資対象:日本を除く先進国23カ国の株式市場
- 運用方法:ファンド・オブ・ファンズ方式(指定投資信託証券を通じて間接的に投資)
- 購入時手数料:無料(ノーロード)
- 信託報酬:年率0.09889%(税込)
- 純資産総額:約1兆円超(2025年10月時点)
- 設定日:2015年12月18日
MSCIコクサイ・インデックスとは、MSCI Inc.が算出・公表する株価指数で、日本を除く先進国22カ国(米国、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、オーストラリアなど)の大型株・中型株約1,300銘柄で構成されています。
仕組み(投資先・ベンチマーク・構成国・リスク構造)
投資先の地域構成(2025年10月末時点の目安)
| 地域 | 構成比率(目安) |
|---|---|
| 米国 | 約70〜72% |
| イギリス | 約4〜5% |
| フランス | 約3〜4% |
| カナダ | 約3〜4% |
| スイス | 約3%前後 |
| ドイツ | 約2〜3% |
| オーストラリア | 約2%前後 |
| その他先進国 | 約10% |
業種別構成(目安)
組入銘柄を業種別に見ると、以下のような構成になっています:
- 情報技術(テクノロジー・ソフトウェア):約23〜25%
- 金融:約14〜16%
- ヘルスケア(医薬品・医療機器):約12〜14%
- 一般消費財・サービス:約10〜12%
- 資本財・サービス:約10〜12%
- その他:約25〜30%
特にソフトウェア、医薬品、テクノロジー関連企業への投資比率が高く、成長性の高いセクターに分散投資されているのが特徴です。
リスク構造
このファンドのリスク水準は中〜高リスクに分類されます。主なリスク要因は以下の通りです:
- 株価変動リスク:組入株式の価格変動により基準価額が変動
- 為替変動リスク:外貨建資産に投資するため、円高時には基準価額が下落する可能性
- カントリーリスク:投資先各国の政治・経済・社会情勢の変化によるリスク
- 流動性リスク:市場の混乱時に売買が困難になるリスク
メリット
1. 業界最低水準の超低コスト
信託報酬が年率0.09889%(税込)と、先進国株式インデックスファンドの中でも最安クラスです。長期投資において、コストの低さは複利効果を最大化する重要な要素となります。例えば、100万円を年率5%で20年間運用した場合、信託報酬が0.1%と0.5%では最終的な資産額に約10万円以上の差が生じます。
2. 先進国23カ国への幅広い地域分散
米国株式が約7割を占めますが、残り3割はイギリス、フランス、カナダ、スイス、ドイツなど欧州・北米・アジア太平洋地域に分散されています。単一国への投資と比べて地政学リスクや特定国の経済減速リスクを軽減できます。
3. 約1,300銘柄への分散投資でリスク分散効果が高い
MSCIコクサイ・インデックスは大型株・中型株約1,300銘柄で構成されているため、個別企業の業績悪化リスクを大幅に軽減できます。特定のセクターや企業に偏らず、幅広い産業に投資することで、ポートフォリオの安定性が向上します。
4. 新NISA・iDeCoの成長投資枠・つみたて投資枠で利用可能
このファンドは新NISAのつみたて投資枠、およびiDeCoの対象商品として採用されています。非課税制度を活用することで、運用益や分配金を非課税で受け取れるため、長期的な資産形成において大きなメリットがあります。
5. 純資産総額が1兆円超で運用の安定性が高い
2025年10月時点で純資産総額は約1兆円を超えており、運用の安定性と流動性が非常に高いと言えます。純資産総額が大きいファンドは、売買時のコストや追加的なリスクが低く、繰上償還(運用終了)のリスクもほぼありません。
デメリット
1. 米国株式への集中度が高い(約70%)
投資先の約7割が米国株式であるため、米国市場の動向に大きく影響されます。米国経済が減速したり、ドル安が進行したりすると、基準価額が大きく下落する可能性があります。「先進国株式」という名称から均等に分散されているイメージを持つかもしれませんが、実際には米国への偏りが強い点に注意が必要です。
2. 為替リスクが存在する(為替ヘッジなし)
このファンドは為替ヘッジを行っていないため、円高局面では為替差損が発生し、基準価額が下落するリスクがあります。例えば、1ドル=150円から1ドル=130円に円高が進んだ場合、株式自体の価値が変わらなくても、円換算での評価額は約13%減少します。
3. 新興国株式は投資対象外
MSCIコクサイ・インデックスは先進国のみが対象で、中国、インド、ブラジルなどの新興国株式は含まれていません。新興国の高い成長性を取り込みたい場合は、別途新興国株式ファンドを組み合わせる必要があります。
4. 日本株式も投資対象外
「日本を除く先進国」がベンチマークのため、日本株式には一切投資されません。日本経済の成長を取り込みたい場合や、為替リスクを避けて国内資産を保有したい場合は、国内株式ファンドと組み合わせる必要があります。
5. 短期的な値動きが大きい(株式100%)
株式に100%投資するファンドであるため、短期的には大きな価格変動が発生します。特に世界的な金融危機や市場の混乱時には、基準価額が大幅に下落するリスクがあります。リスク許容度が低い方や、短期で資金が必要な方には不向きです。
他商品との比較
先進国株式インデックスファンドは複数の運用会社から提供されています。以下は主要な競合商品との比較です。
| ファンド名 | 信託報酬(年率・税込) | 純資産総額(億円) | 設定日 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| たわらノーロード 先進国株式 | 0.09889% | 約10,000億円 | 2015年12月 | 超低コスト、純資産総額大 |
| eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 0.09889% | 約8,000億円 | 2017年2月 | 同等の低コスト、eMAXISブランド |
| ニッセイ外国株式インデックスファンド | 0.09889% | 約7,500億円 | 2013年12月 | 老舗のインデックスファンド |
| SBI・iシェアーズ・先進国株式インデックス・ファンド | 0.0973% | 約1,500億円 | 2022年11月 | わずかに低コスト |
| 楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 0.192% | 約5,000億円 | 2017年9月 | 全世界(日本含む)に投資 |
比較ポイント:
- たわらノーロード、eMAXIS Slim、ニッセイ外国株式は信託報酬がほぼ同水準で、いずれも優良な選択肢です
- SBI・iシェアーズはわずかに低コストですが、純資産総額はまだ小さめです
- 日本を含めた全世界株式に投資したい場合は、楽天・全世界株式やeMAXIS Slim オール・カントリーが候補になります
初心者向けの注意点
誤解されやすいポイント
1. 「先進国株式」≠「米国以外の先進国」
「先進国株式」という名称から、米国以外の先進国に幅広く投資されているイメージを持つかもしれませんが、実際には約70%が米国株式です。これはMSCIコクサイ・インデックスが時価総額加重平均型の指数であり、米国市場の規模が圧倒的に大きいためです。
2. 為替ヘッジなしなので為替リスクがある
外貨建資産に投資するため、円高になると基準価額が下落します。逆に円安が進めば、株式の値動きがなくても基準価額は上昇します。為替の影響を受けたくない場合は、為替ヘッジありのファンドを検討してください。
3. 分配金は出ない(再投資型)
このファンドは分配金を出さず、運用益をファンド内で再投資します。定期的な収入を期待する方には不向きですが、長期的な資産形成においては、分配金を再投資することで複利効果が最大化されるメリットがあります。
4. 元本保証ではない
株式に投資する投資信託であるため、元本割れのリスクがあります。市場の暴落時には、投資元本の30〜50%程度の含み損が発生する可能性もあります。短期的な価格変動に耐えられる資金で投資することが重要です。
ポートフォリオ例
以下は、「たわらノーロード 先進国株式」を活用したポートフォリオの一例です(あくまで例示であり、推奨ではありません)。
例1:バランス型ポートフォリオ(リスク中程度)
- たわらノーロード 先進国株式:40%
- eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX):20%
- eMAXIS Slim 新興国株式インデックス:10%
- eMAXIS Slim 先進国債券インデックス:20%
- eMAXIS Slim 国内債券インデックス:10%
用途:株式と債券をバランスよく組み合わせ、リスクを抑えつつリターンを狙う
例2:株式中心の成長型ポートフォリオ(リスク高め)
- たわらノーロード 先進国株式:50%
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):30%
- eMAXIS Slim 新興国株式インデックス:20%
用途:長期的な成長を重視し、株式100%で運用(若年層向け)
例3:全世界株式への簡易分散ポートフォリオ
- たわらノーロード 先進国株式:70%
- eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX):20%
- eMAXIS Slim 新興国株式インデックス:10%
用途:日本・先進国・新興国をカバーし、全世界株式に近い分散を実現
よくある質問(FAQ)
Q1. eMAXIS Slim 先進国株式インデックスとどちらを選ぶべきですか?
A. 信託報酬は同じ0.09889%で、ベンチマークも同じMSCIコクサイ・インデックスです。純資産総額はたわらノーロードがやや大きいですが、運用実績やコスト面ではほぼ同等です。どちらを選んでも大きな差はありませんので、既に保有している他のファンドとの運用会社の分散や、証券会社のポイント還元率などで選ぶのも一つの方法です。
Q2. 新NISAのつみたて投資枠で使えますか?
A. はい、使えます。たわらノーロード 先進国株式は、新NISAのつみたて投資枠の対象商品です。長期・分散・積立投資に適した低コストのインデックスファンドとして、つみたてNISAでの利用に向いています。
Q3. 米国株式が約70%を占めていますが、米国株式ファンドと何が違いますか?
A. 米国株式ファンド(S&P500やVTIなど)は米国市場100%ですが、たわらノーロード 先進国株式は約30%を欧州・カナダ・アジア太平洋地域に投資しています。米国一極集中のリスクを避けつつ、先進国全体の成長を取り込みたい方に適しています。
Q4. 為替リスクが心配です。為替ヘッジありの商品はありますか?
A. たわらノーロードシリーズには為替ヘッジありのバージョンはありませんが、他社では「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス(為替ヘッジあり)」などが提供されています。ただし、為替ヘッジにはコストがかかり、長期的には為替ヘッジなしの方がリターンが高い傾向があります。
Q5. どのくらいのリターンが期待できますか?
A. 過去の実績では、MSCIコクサイ・インデックスは年率7〜9%程度のリターン(配当込み、円換算ベース)を記録してきました。ただし、これは過去のデータであり、将来のリターンを保証するものではありません。株式投資である以上、短期的にはマイナスのリターンになる年もあります。
Q6. いつ売却すればいいですか?
A. 基本的には長期保有が推奨されます。短期的な価格変動に一喜一憂せず、10年〜20年以上の長期スパンで保有することで、複利効果と時間分散のメリットを最大化できます。売却のタイミングは、ライフイベント(住宅購入、教育資金、老後資金など)に合わせて計画的に行うのが理想です。
まとめ
- 「たわらノーロード 先進国株式」は、日本を除く先進国23カ国の株式に分散投資できる低コストのインデックスファンド
- 信託報酬は年率0.09889%と業界最低水準で、長期投資に最適
- 投資先の約70%は米国株式で、残り30%が欧州・カナダ・アジア太平洋地域に分散
- 約1,300銘柄に分散投資されており、個別企業リスクを大幅に軽減
- 新NISA・iDeCoの対象商品で、非課税制度を活用した長期資産形成に向いている
- 為替ヘッジなしのため、円高時には基準価額が下落するリスクがある
- 新興国株式や日本株式は含まれないため、必要に応じて他のファンドと組み合わせることを検討
- 短期的には価格変動が大きいため、長期保有前提で投資することが重要
免責事項
本記事は、投資信託「たわらノーロード 先進国株式」に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。また、投資助言や勧誘を目的としたものでもありません。
投資信託は元本保証ではなく、価格変動リスク、為替変動リスク、信用リスクなど様々なリスクが存在します。投資判断は、ご自身の投資目的、リスク許容度、資産状況などを十分に考慮した上で、自己責任において行ってください。
本記事に記載されたデータや情報は、2025年10月〜11月時点のものであり、その後の市場環境や商品内容の変更により、実際の内容と異なる場合があります。最新の情報は、運用会社の公式サイトや目論見書、販売会社の情報でご確認ください。
投資にあたっては、必ず目論見書や契約締結前交付書面をよくお読みいただき、内容を十分にご理解の上、ご自身でご判断ください。