データ参照日:2025年12月(記事更新時点)
冒頭サマリ(結論)
SBI・V・米国小型株式インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・米国小型株式、SBI-VB)は、米国の小型株約1,400銘柄に分散投資できる低コストのインデックスファンドです。バンガード社の「バンガード・スモールキャップETF(VB)」を実質的な投資対象とし、CRSP・US・スモールキャップ・インデックスに連動することを目指します。
こんな人に向いています:
- 米国の大型株(S&P500など)に加えて、小型株にも分散投資したい方
- 景気回復局面や金利低下局面で小型株の成長機会を取り込みたい方
- 長期的に高いリターンを狙いたいが、値動きの大きさを受け入れられる方
- 低コストで米国小型株に投資したい初心者〜中級者
米国小型株は大型株よりも値動きが激しく、景気や金利の影響を受けやすい特徴があります。2025年は米国の金利動向や景気サイクルの転換点として注目されており、小型株への投資タイミングとして検討する投資家が増えています。ただし、短期的な下落リスクも高いため、長期保有を前提とした分散投資の一部として活用することが重要です。
商品概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | SBI・V・米国小型株式インデックス・ファンド |
| 愛称 | SBI・V・米国小型株式(SBI-VB) |
| 運用会社 | SBIアセットマネジメント |
| 投資対象ETF | バンガード・スモールキャップETF(VB) |
| ベンチマーク | CRSP・US・スモールキャップ・インデックス(配当込み、円換算ベース) |
| 投資対象 | 米国小型株式(約1,400銘柄) |
| 信託報酬(年率・税込) | 0.1238%程度(2023年5月25日時点) |
| 設定日 | 2023年6月8日 |
| 為替ヘッジ | なし |
| 決算頻度 | 年1回(6月決算) |
| 購入時手数料 | なし(ノーロード) |
| つみたて投資枠 | 対象外 |
| 成長投資枠 | 対象 |
仕組み(投資先・ベンチマーク・リスク構造)
投資の仕組み
このファンドは「ファンド・オブ・ETFs」方式を採用しており、投資家から集めた資金で米国ETFであるバンガード・スモールキャップETF(ティッカー:VB)を購入します。VBは世界最大級の運用会社バンガード社が運用するETFで、米国小型株市場全体に投資しています。
ベンチマーク:CRSP・US・スモールキャップ・インデックスとは
CRSP・US・スモールキャップ・インデックスは、米国株式市場の時価総額下位2%〜15%程度に該当する小型株で構成される指数です。具体的には以下の特徴があります:
- 約1,400銘柄で構成(銘柄数は市況により変動)
- 時価総額加重平均方式で算出
- 米国株式市場全体の約14%程度をカバー
- 年1回のリバランス(再構成)を実施
主要セクター構成
米国小型株の主なセクター構成は以下の通りです(参考:VBの構成、時期により変動):
| セクター | 構成比率(目安) |
|---|---|
| 金融 | 約17〜19% |
| 資本財・サービス | 約16〜18% |
| ヘルスケア | 約13〜15% |
| 情報技術 | 約12〜14% |
| 一般消費財・サービス | 約11〜13% |
| 不動産 | 約9〜11% |
| その他 | 残り |
※構成比率は市況により変動します。最新情報は運用会社の月次レポートをご確認ください。
リスク構造
米国小型株は以下のリスク特性を持ちます:
- 価格変動リスク:大 – 大型株よりも値動きが激しく、短期的に±20〜30%の変動も
- 為替リスク:あり – 円高局面では円建ての基準価額が下落
- 景気感応度:高 – 景気後退時には大型株以上に下落しやすい
- 流動性リスク:中 – 大型株に比べて取引量が少ない銘柄も含まれる
- 金利感応度:高 – 金利上昇局面では資金調達コストの増加で業績悪化リスク
メリット
1. 超低コストで米国小型株に投資できる
信託報酬は年率0.1238%程度と、米国小型株ファンドの中でも最低水準のコストを実現しています。従来の国内アクティブファンドでは信託報酬が1%を超えることも珍しくない中、この低コストは長期投資において大きなアドバンテージとなります。
なぜ重要か:長期投資では、わずか0.5%のコスト差でも20年後には運用成果に10%以上の差が生じる可能性があります。
2. 約1,400銘柄への広範な分散投資
米国小型株市場全体に幅広く投資することで、個別銘柄リスクを大幅に軽減できます。特定の小型株が倒産しても、ポートフォリオ全体への影響は限定的です。
なぜ重要か:小型株は大型株に比べて倒産リスクが高いため、分散投資が不可欠です。1,400銘柄への分散は、個人投資家が独自に実現することは困難です。
3. 長期的に大型株を上回るリターンの可能性
歴史的に、米国小型株は長期的に大型株(S&P500など)を上回るリターンを実現してきた傾向があります。これは「小型株プレミアム」と呼ばれる現象で、成長余地の大きい小型企業への投資が高リターンにつながるという理論に基づきます。
なぜ重要か:20〜30年という超長期の資産形成では、年率1〜2%のリターン差が最終資産額に数倍の違いを生む可能性があります。
4. 景気回復・金利低下局面で恩恵を受けやすい
小型株は以下の環境で大型株以上のパフォーマンスを発揮する傾向があります:
- 景気が底打ちから回復に転じる局面
- 政策金利が引き下げられる局面
- 国内経済(米国内需)が好調な局面
なぜ重要か:2025年は米国の政策金利が引き下げ方向にあり、小型株にとって追い風となる可能性があります。
5. バンガードの低コストETFを通じた投資
このファンドは世界最大級の運用会社バンガード社のETF「VB」に投資します。バンガードは低コスト運用のパイオニアとして知られ、ETF自体の経費率も0.05%と極めて低水準です。
なぜ重要か:信頼性の高い運用会社のETFを通じて投資することで、運用の透明性と安定性が確保されます。
デメリット
1. 値動きが非常に大きい(ボラティリティが高い)
米国小型株は大型株(S&P500など)に比べて価格変動が1.2〜1.5倍程度大きい傾向があります。例えば、S&P500が1年間で10%下落する局面では、小型株は15〜20%下落することも珍しくありません。
リスクの明確化:短期的な含み損に耐えられない方、数年以内に資金を使う予定がある方には不向きです。最低でも10年以上の長期保有を前提とすべきです。
2. 景気後退時の下落リスクが大きい
小型株は大型株に比べて財務基盤が脆弱な企業が多く、景気後退時には業績悪化や倒産リスクが高まります。2008年のリーマンショック時や2020年のコロナショック時には、小型株指数は大型株以上に急落しました。
誤解を避ける説明:「小型株は高リターン」という言葉だけに注目せず、「高リスク・高リターン」であることを理解する必要があります。
3. 為替リスクがある(円高で損失)
このファンドは為替ヘッジを行っていないため、円高・ドル安が進むと基準価額が下落します。例えば、米国株価が変わらなくても、1ドル=150円から130円に円高が進めば、約13%の損失が発生します。
リスクの明確化:為替の動きは予測困難であり、株価と為替の両方の変動リスクを負うことになります。
4. 配当利回りは低い
米国小型株の配当利回りは平均で1〜1.5%程度と、高配当株ファンド(VYMなど、利回り3%前後)に比べて低水準です。小型企業は配当よりも成長投資を優先する傾向があるためです。
誤解を避ける説明:配当収入を重視する方(リタイア後の生活資金など)には不向きです。このファンドは値上がり益(キャピタルゲイン)狙いの商品です。
5. つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の対象外
新NISAの「つみたて投資枠」では購入できず、「成長投資枠」のみ対応です。つみたて投資枠は年間120万円の非課税枠があるため、この枠を活用できない点は機会損失となります。
リスクの明確化:つみたて投資枠で長期・積立・分散投資の恩恵を最大化したい方は、オルカンやS&P500など対象商品を優先すべきです。
6. 運用実績が浅い(2023年設定)
このファンドは2023年6月に設定されたばかりで、長期的な運用実績がまだありません。ベンチマークに正確に連動するか、為替ヘッジなしの運用が適切に行われるかは、今後の検証が必要です。
リスクの明確化:10年以上の運用実績がある競合ファンドと比較すると、信頼性の面で若干劣ります。
他商品との比較
米国小型株や類似ファンドとの比較表です。
| 項目 | SBI-VB (米国小型株) |
SBI-VTI (全米株式) |
SBI-V-S&P500 (米国大型株) |
iFreeNEXT FANG+ (米国ハイテク大型株) |
|---|---|---|---|---|
| 投資対象ETF | VB | VTI | VOO | 個別株(10銘柄) |
| 投資対象 | 米国小型株 約1,400銘柄 |
米国株全体 約4,000銘柄 |
米国大型株 約500銘柄 |
米国ハイテク大手 10銘柄 |
| 信託報酬(年率・税込) | 0.1238%程度 | 0.0938%程度 | 0.0938%程度 | 0.7755% |
| リスク(値動き) | 大 | 中〜大 | 中 | 極大 |
| 配当利回り(目安) | 1〜1.5% | 1.5〜2% | 1.5〜2% | 0.5%未満 |
| 景気感応度 | 高 | 中 | 中 | 高 |
| 長期リターン期待 | 高(小型株プレミアム) | 中〜高 | 中 | 高(高リスク) |
| つみたて投資枠 | 対象外 | 対象 | 対象 | 対象外 |
| 向いている人 | 景気回復期待・ 高リスク許容 |
米国株全体に バランス投資 |
安定志向・ 王道の米国株投資 |
ハイテク集中・ 超ハイリスク志向 |
比較のポイント
- 分散性重視なら:SBI-VTI(全米株式)が最もバランスが良い
- 安定性重視なら:SBI-V-S&P500(大型株中心)が値動きが比較的マイルド
- 小型株の成長性に期待するなら:SBI-VB(本ファンド)
- 超ハイリスク・ハイリターン狙いなら:iFreeNEXT FANG+(ただし10銘柄集中のため極めてリスキー)
初心者向けの注意点
1. 「小型株=必ず大型株より儲かる」ではない
小型株プレミアムは超長期(20年以上)でのみ顕在化する傾向があります。5〜10年という中期では、大型株がアウトパフォームすることも十分あり得ます。
2. 小型株だけに集中投資するのは危険
小型株ファンドはポートフォリオの一部(10〜30%程度)として組み入れ、残りは全世界株式やS&P500など安定性の高い資産と組み合わせるのが賢明です。
3. 「ラッセル2000」との違いに注意
米国小型株指数には「ラッセル2000」と「CRSP US スモールキャップ」の2つがあります。このファンドはCRSP指数に連動します。両者はほぼ同じ動きをしますが、構成銘柄や算出方法に若干の違いがあります。
4. 為替の影響を理解する
米国株が上昇しても、同時に円高が進めば利益が相殺されることがあります。逆に、米国株が横ばいでも円安が進めば利益が出ることもあります。為替はコントロール不可能なリスクと認識すべきです。
5. 損切りせず長期保有が前提
小型株は短期的に20〜30%下落することも珍しくありません。そこで慌てて売却すると損失が確定してしまいます。最低10年、できれば20年以上の保有を前提に投資すべきです。
ポートフォリオ例
以下は用途の例であり、推奨ではありません。ご自身のリスク許容度に応じて調整してください。
パターン1:米国株重視・リスク許容度「中」の投資家
- SBI-V-S&P500(米国大型株):50%
- SBI-VB(米国小型株):20%
- eMAXIS Slim 先進国債券:20%
- 現金・預金:10%
特徴:米国大型株を中心に、小型株で成長性を追加。債券でリスクを抑制。
パターン2:全世界分散・小型株をスパイスとして追加
- eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン):60%
- SBI-VB(米国小型株):15%
- eMAXIS Slim 国内債券:15%
- 現金・預金:10%
特徴:全世界分散を基本に、米国小型株でリターン向上を狙う。
パターン3:超長期・ハイリスク許容の若年層
- SBI-VTI(全米株式):40%
- SBI-VB(米国小型株):30%
- eMAXIS Slim 新興国株式:20%
- 現金・預金:10%
特徴:株式100%(現金除く)で最大リターンを狙う。20代〜30代の長期投資家向け。
よくある質問(FAQ)
Q1. SBI-VBとSBI-VTIの違いは何ですか?
A:SBI-VBは米国小型株のみ(約1,400銘柄)に投資するのに対し、SBI-VTIは米国株全体(大型・中型・小型、約4,000銘柄)に投資します。SBI-VTIの方が分散性が高く、値動きがマイルドです。SBI-VBは小型株に特化しているため、リスク・リターンともに高くなります。
Q2. 「小型株プレミアム」は本当に存在しますか?
A:過去のデータ(特に1920年代〜現在の米国市場)では、小型株が大型株を長期的に上回る傾向が観察されています。ただし、近年(2010年代以降)はGAFAMなどの大型ハイテク株の躍進により、小型株プレミアムが縮小している期間もあります。将来も必ず続く保証はありません。
Q3. 2025年に米国小型株を買うのは良いタイミングですか?
A:2025年は米国の政策金利が引き下げ方向にあり、小型株にとって追い風となる可能性があります。ただし、市場タイミングを完璧に予測することは不可能です。一括投資よりも、毎月一定額を積み立てる「ドルコスト平均法」でリスクを分散する方が賢明です。
Q4. 新NISAでSBI-VBを買う場合、つみたて投資枠と成長投資枠のどちらを使うべきですか?
A:SBI-VBは成長投資枠のみ対応です(つみたて投資枠では購入不可)。つみたて投資枠(年間120万円)は、オルカンやS&P500などつみたて対象商品で埋めることをおすすめします。
Q5. ラッセル2000指数との違いは?
A:このファンドが連動する「CRSP US スモールキャップ指数」は、ラッセル2000とほぼ同じ米国小型株市場をカバーしますが、算出方法や構成銘柄に若干の違いがあります。長期的なパフォーマンスはほぼ同等と考えて差し支えありません。ラッセル2000は「炭鉱のカナリア」として景気の先行指標とされることがあります。
Q6. 配当金は再投資されますか?
A:このファンドは年1回決算(6月)で分配金を出す可能性がありますが、基本的には分配金を出さず、ファンド内で自動再投資される方針です(運用方針による)。税効率の観点から、分配金が出ない方が有利です。
まとめ
- SBI-VBは米国小型株約1,400銘柄に分散投資できる超低コストファンド(信託報酬0.1238%程度)
- 長期的に大型株を上回るリターンの可能性があるが、値動きは大型株の1.2〜1.5倍と激しい
- 景気回復・金利低下局面で恩恵を受けやすいが、景気後退時の下落リスクも大きい
- 為替ヘッジなしのため、円高リスクがある(円高で基準価額下落)
- 配当利回りは低い(1〜1.5%程度)ため、値上がり益狙いの商品
- つみたて投資枠は対象外、成長投資枠のみ利用可能
- ポートフォリオの10〜30%程度に組み入れ、全世界株式やS&P500と組み合わせるのが賢明
- 最低10年、できれば20年以上の長期保有が前提
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入や投資行動を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。
記事内の信託報酬、構成銘柄、パフォーマンスデータなどは記事更新時点(2025年12月)のものであり、将来変更される可能性があります。最新の情報は、SBIアセットマネジメントの公式サイトや目論見書、月次レポートをご確認ください。
投資信託は元本保証ではなく、価格変動リスク、為替リスク、信用リスクなどにより損失が生じる可能性があります。過去の運用実績は将来の成果を保証するものではありません。