この商品の結論
SBI・iシェアーズ・先進国株式インデックス・ファンドは、日本を除く先進国の株式に広く分散投資できる低コストな投資信託です。米国株式に約70%、欧州・カナダ・オーストラリアなどに約30%と、先進国の経済成長を幅広く取り込めます。
経費率0.09%程度という圧倒的な低コストで、新NISAのつみたて投資枠でも利用可能。米国一極集中を避けたい方や、先進国全体に分散したい方に特に向いています。ただし日本株式は含まれないため、国内株式への投資は別途検討する必要があります。
商品の概要
SBI・iシェアーズ・先進国株式インデックス・ファンドは、MSCIコクサイ・インデックスをベンチマークとする投資信託です。MSCIコクサイは、日本を除く先進国23カ国の大型・中型株約1,300銘柄で構成される株価指数で、先進国市場全体の動きを捉えることを目的としています。
運用会社はSBIアセットマネジメントで、iシェアーズ MSCI コクサイ ETF(米国上場ETF)を実質的な投資対象としています。つまり、米国市場に上場している低コストETFを通じて、効率的に先進国株式へ投資する仕組みです。
仕組み
ベンチマーク:MSCIコクサイ・インデックス
MSCIコクサイ・インデックスとは、MSCI社が算出する日本を除く先進国の株価指数です。具体的には以下の23カ国が対象となります。
- 北米:米国、カナダ
- 欧州:イギリス、ドイツ、フランス、スイス、オランダ、スウェーデンなど15カ国
- アジア太平洋:オーストラリア、香港、シンガポール、ニュージーランド、イスラエル
投資先の構成
国別では、米国が約70%を占めており、次いで欧州各国、カナダ、オーストラリアなどが続きます。業種別では、情報技術、金融、ヘルスケア、一般消費財などが上位を占めています。
組入上位銘柄は、米国のApple、Microsoft、Amazon、NVIDIA、Googleなどのテクノロジー大手企業や、金融・ヘルスケアセクターの世界的企業が中心です。
メリット
1. 圧倒的な低コスト
経費率(信託報酬)は年率0.09%程度と、先進国株式ファンドの中でも最低水準です。長期投資では、わずかなコスト差が複利効果で大きく影響するため、この低コストは非常に魅力的です。
2. 米国以外の先進国にも分散できる
S&P500などの米国株式ファンドと異なり、欧州やカナダ、オーストラリアなど約30%を米国以外の先進国に投資します。米国一極集中のリスクを軽減したい方に適しています。
3. 新NISA対応でつみたて投資枠が使える
本ファンドはつみたて投資枠対象商品に指定されているため、新NISAの非課税メリットを最大限活用できます。年間120万円まで非課税で積立投資が可能です。
4. 為替ヘッジなしで成長性を取り込める
為替ヘッジを行わないため、外貨建て資産としての価値上昇や、円安時の恩恵を受けられます。長期的には先進国の経済成長と通貨分散の効果が期待できます。
5. 約1,300銘柄に分散投資
個別株への集中リスクを避け、先進国市場全体の成長を享受できる分散効果があります。
デメリット
1. 日本株式が含まれない
MSCIコクサイは日本を除く先進国のみが対象です。日本株式への投資を希望する場合は、別途日本株式ファンドやオールカントリーファンドを検討する必要があります。
2. 米国比率が約70%と高い
「先進国分散」とはいえ、実質的には米国株式の影響を強く受けます。米国市場の下落時には大きく影響を受ける可能性があります。
3. 為替リスクがある
為替ヘッジなしのため、円高時には基準価額が下落します。外貨資産への投資経験が少ない初心者は、為替変動リスクを理解しておく必要があります。
4. 新興国株式は含まれない
中国、インド、ブラジルなどの新興国市場の成長は取り込めません。新興国への投資を希望する場合は、オールカントリーや新興国ファンドとの併用が必要です。
5. 運用実績がまだ浅い
SBIシリーズは比較的新しい商品が多く、長期の運用実績が十分ではありません。ただしベンチマークとなるMSCIコクサイ自体は長い歴史があります。
他商品との比較
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
同じくMSCIコクサイをベンチマークとする人気ファンド。経費率0.09%台と本ファンドとほぼ同水準で、どちらを選んでも大差ありません。eMAXIS Slimシリーズは運用実績が長く、純資産総額も大きいという安心感があります。
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
米国株式500社に投資するファンド。米国株式に約70%投資する本ファンドと比較すると、より米国に集中しています。米国市場への信頼が強い方や、シンプルに米国株だけに投資したい方に向いています。
楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド
先進国+新興国+日本を含む全世界株式に投資。日本や新興国も含めた完全分散を求める方に適しています。経費率は0.05%台とさらに低コストです。
初心者向けの注意点
1. 「先進国」には日本は含まれない
商品名の「先進国」という表現から、日本も含まれると誤解しやすいですが、日本を除く先進国が対象です。日本株式も保有したい場合は注意が必要です。
2. 為替変動を理解する
外国株式ファンドは、株価の変動だけでなく為替レートの変動も影響します。円高時には基準価額が下がり、円安時には上がる傾向があります。長期投資では為替は平均化されるため、過度に心配する必要はありませんが、短期的な変動は覚悟しましょう。
3. 長期・積立・分散が基本
株式ファンドは短期的には値動きが大きいため、10年以上の長期投資を前提に、毎月一定額を積み立てる方法が推奨されます。一括投資よりもリスクを分散できます。
4. 他の資産との組み合わせを考える
本ファンドは株式100%のため、リスクが高めです。年齢やリスク許容度に応じて、債券や国内株式、現金など他の資産とのバランスを考えることも重要です。
ポートフォリオ例(用途例として)
パターン1:先進国重視型
- 本ファンド(先進国株式):70%
- 日本株式インデックス:20%
- 国内債券:10%
日本を含む先進国全体に投資しつつ、債券で安定性を確保するバランス型です。
パターン2:米国+先進国分散型
- S&P500ファンド:50%
- 本ファンド(先進国株式):30%
- 新興国株式ファンド:20%
米国中心としつつ、欧州やアジア太平洋、新興国にも分散するグローバル型です。
パターン3:シンプル全世界分散型
- オールカントリー:80%
- 本ファンド(先進国株式):20%
全世界株式をベースに、先進国比率を少し高めたい方向けの応用型です。
※これらはあくまで用途例であり、個別の投資推奨ではありません。ご自身のリスク許容度や投資目的に合わせて判断してください。
まとめ
- MSCIコクサイをベンチマークとし、日本を除く先進国23カ国の約1,300銘柄に分散投資
- 経費率0.09%程度と業界最低水準の低コストで、長期投資に有利
- 新NISAのつみたて投資枠に対応し、非課税メリットを活用できる
- 米国株式が約70%を占めるが、欧州やカナダなどにも約30%分散できる
- 日本株式は含まれないため、国内株式が欲しい場合は別途検討が必要
- 為替ヘッジなしのため、円高・円安の影響を受ける(長期では平均化される)
- 新興国株式は含まれず、先進国市場のみが対象
- S&P500と比較すると米国以外の分散があり、オールカントリーと比較すると先進国に特化
- 長期・積立・分散を基本とし、他の資産とのバランスも考慮することが重要
SBI・iシェアーズ・先進国株式インデックス・ファンドは、低コストで先進国株式に幅広く分散投資したい方や、米国一極集中を避けたい方に適した選択肢です。オールカントリーほど広範囲ではないものの、主要先進国の成長を効率的に取り込める実用的なファンドと言えます。