楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド(楽天VYM)の評価レビュー|メリット・デメリットと初心者向け解説

楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド(楽天VYM)投資イメージ

この商品の結論

楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド(楽天VYM)は、米国の配当利回りが高い優良企業に分散投資できる投資信託です。バンガード社のETF「VYM」を実質的な投資対象とし、約400銘柄に投資します。

この商品が向いているのは、長期的に配当収入を重視したい方株価の値上がりだけでなく、定期的なインカムゲインも期待したい方、そして米国の成熟した優良企業に投資したい初心者です。ただし、成長株中心のS&P500などと比べると、値上がり益は控えめになる傾向があります。配当と成長のバランスを考えた運用を目指す方に適した選択肢と言えるでしょう。

商品の概要

楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド(通称:楽天VYM)は、米国の高配当株式に投資するインデックスファンドです。

この投資信託は、バンガード社が運用する米国ETF「VYM(Vanguard High Dividend Yield ETF)」を主要な投資対象としています。VYMはFTSEハイディビデンド・イールド・インデックスという指数に連動しており、米国株式市場の中でも予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄を選定して投資します。

約400銘柄に分散投資されており、金融、ヘルスケア、生活必需品、エネルギーなど、安定した配当を出す成熟企業が中心です。楽天証券やSBI証券などで100円から購入でき、NISA(新NISA)にも対応しているため、初心者でも手軽に米国高配当株投資を始められるのが特徴です。

仕組み

楽天VYMは、「ファンド・オブ・ファンズ」方式を採用しています。これは、投資信託が直接株式を買うのではなく、海外ETF(この場合はバンガード社のVYM)を通じて間接的に米国株式に投資する仕組みです。

ベンチマーク:FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス(円換算ベース)
このインデックスは、米国の上場企業の中から、予想配当利回りが高い銘柄を選び出し、時価総額加重平均で構成されています。REITは除外され、普通株のみが対象です。

投資先の特徴:

  • 約400銘柄に分散投資
  • 金融、ヘルスケア、生活必需品、エネルギーセクターが上位
  • ジョンソン・エンド・ジョンソン、P&G、エクソンモービルなど成熟した大型株が中心
  • 高配当であることが条件のため、成長著しいハイテク株の比率は低め

配当金は年4回(3月、6月、9月、12月)分配されるのが一般的ですが、投資信託内で自動的に再投資されるため、複利効果を活かした長期運用に適しています。

メリット

1. 米国の優良高配当株に低コストで分散投資できる

個別株を自分で選ぶ必要がなく、約400銘柄の米国高配当株に一度に投資できます。信託報酬も年0.192%程度と低コストで、長期保有に向いています。

2. 配当を重視した安定的なリターンが期待できる

高配当株は、業績が安定した成熟企業が多いため、株価の値動きが比較的穏やかです。配当利回りは3%前後を期待でき、定期的なインカムゲインを得ながら資産を増やせます。

3. 100円から購入可能で初心者に優しい

楽天証券やSBI証券では100円から積立投資が可能です。少額から始められるため、投資初心者でもリスクを抑えながらスタートできます。

4. 新NISAの成長投資枠で非課税運用できる

新NISA制度の成長投資枠で購入できるため、配当金や売却益が非課税になります。長期的な資産形成において税制優遇を受けられるのは大きなメリットです。

5. 米国市場の成長と為替益の恩恵を受けられる

米国経済の成長や円安局面では、為替差益も期待できます。ドル建て資産を持つことで、円資産への集中リスクを分散できる効果もあります。

デメリット

1. 成長株中心のファンドと比べて値上がり益は控えめ

高配当株は成熟企業が多く、株価の急成長は期待しにくいです。S&P500やNASDAQ100連動型のファンドと比較すると、トータルリターンは劣る可能性があります。

2. 為替リスクがある

ドル建て資産のため、円高になると基準価額が下がるリスクがあります。為替ヘッジはないため、為替変動の影響を直接受けます。

3. セクター(業種)に偏りがある

高配当株は金融、エネルギー、生活必需品などに集中しやすく、ハイテクセクターの比率が低い傾向があります。そのため、テクノロジー株の成長の恩恵を受けにくいです。

4. 配当金が自動再投資されるため、現金で受け取れない

投資信託の仕組み上、配当金はファンド内で再投資されます。定期的に配当を現金で受け取りたい場合は、本家のETF「VYM」を直接購入する必要があります。

5. 信託財産留保額がかかる場合がある

解約時に信託財産留保額が設定されている場合があります(商品によって異なる)。短期売買には向かず、長期保有が前提の商品です。

他商品との比較

類似商品との違い

1. SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(SBI・VYM)
同じくVYMに投資する投資信託です。信託報酬は楽天VYMとほぼ同水準(年0.1238%程度)で、よりコストが低いのが特徴です。SBI証券で購入する場合はこちらも検討する価値があります。

2. iシェアーズ 米国高配当株 ETF(HDV)に連動する投資信託
HDVは、財務健全性が高い米国高配当株約75銘柄に投資するETFです。VYMよりも銘柄数が少なく、より厳選された高配当株に投資します。配当利回りはやや高めですが、分散性はVYMに劣ります。

3. eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
米国の代表的な500社に投資するインデックスファンドです。成長株も含むため、トータルリターンは高めですが、配当利回りは低めです。値上がり益を重視する方向けです。

4. 本家VYM(バンガード・ハイディビデンド・イールドETF)
楽天VYMが投資している元のETFです。配当を現金で受け取りたい場合や、より低コストで運用したい場合は、直接VYMを購入する選択肢もあります。ただし、米国株式の取引に慣れている中級者以上向けです。

初心者向けの注意点

1. 高配当=必ずしも良い投資先ではない

配当利回りが高いからといって、その企業が必ずしも優良とは限りません。業績悪化で株価が下がり、見かけ上の配当利回りが上がっているケースもあります。インデックスファンドは自動的に銘柄を入れ替えるため、個別株投資よりリスクは低いですが、理解しておきましょう。

2. 短期的な値動きに一喜一憂しない

株式市場は日々変動します。長期的な視点で保有することが、配当再投資の複利効果を最大化する鍵です。短期売買で利益を出す商品ではありません。

3. 為替リスクを理解する

円高になると基準価額が下がることがあります。しかし、長期的には米国経済の成長と配当再投資でカバーできる可能性が高いため、為替変動だけで売却判断をしないことが重要です。

4. ポートフォリオ全体で考える

楽天VYMだけに集中投資するのではなく、他の資産クラスと組み合わせることでリスク分散ができます。次のセクションで具体例を紹介します。

ポートフォリオ例(用途例として)

※以下はあくまで一例であり、個別商品の購入を推奨するものではありません。

パターン1:配当重視の安定型ポートフォリオ

  • 楽天VYM:40%
  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):40%
  • 現金・債券:20%

配当収入を確保しつつ、全世界株式でリスク分散し、現金・債券で安定性を高める構成です。

パターン2:成長と配当のバランス型

  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):50%
  • 楽天VYM:30%
  • eMAXIS Slim 先進国債券:20%

成長株の値上がり益を狙いつつ、高配当株で安定性を加え、債券でリスクをコントロールする構成です。

パターン3:米国株集中型(配当再投資)

  • 楽天VYM:60%
  • SBI・V・S&P500:40%

米国市場に集中投資しながら、配当と成長のバランスを取る構成です。リスク許容度が高い方向けです。

まとめ

  • 楽天VYMは、米国の高配当株約400銘柄に分散投資できるインデックスファンド
  • 配当利回り3%前後を期待でき、配当再投資で複利効果を活かせる
  • 信託報酬は年0.192%程度と低コストで、100円から購入可能
  • 新NISAの成長投資枠で非課税運用ができる
  • 成長株中心のファンドと比べて値上がり益は控えめだが、安定性が高い
  • 為替リスクやセクター偏りに注意が必要
  • 配当を現金で受け取りたい場合は、本家VYMの直接購入も検討
  • 長期的な資産形成と配当収入を重視する方に向いている
  • 他の資産クラスと組み合わせることで、リスク分散が可能

楽天VYMは、配当と成長のバランスを取りたい投資家にとって、有力な選択肢の一つです。自分の投資目的やリスク許容度に合わせて、ポートフォリオに組み入れるかどうかを検討してみてください。

カマタ

カマタ

はじめまして、カマタです。
これまで学んできた投資の知識を少しでも誰かの役に立てられればと思い、このブログを始めました。
無理なく続けながら、分かりやすい情報を発信していきます。

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