楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンドの評価レビュー|メリット・デメリットと初心者向け解説

楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンドの評価レビュー

データ参照日:2024年12月時点

結論:どんな人に向いているか(冒頭サマリ)

楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド(愛称:楽天・プラス・S&P500)は、米国の代表的な500社に分散投資できる低コストのインデックスファンドです。信託報酬が年率0.077%(税込)と業界最低水準で、楽天証券で購入すれば楽天ポイントも貯まります。

このファンドは、米国株式市場の成長を取り込みたい長期投資家や、新NISAの成長投資枠やつみたて投資枠を活用したい初心者投資家に特に適しています。ただし、米国のみに集中投資するため地域分散が効かず、為替リスクも伴う点には注意が必要です。

S&P500連動型ファンドは他社からも多数提供されていますが、楽天証券ユーザーでポイント還元や楽天経済圏のメリットを重視する方には有力な選択肢となります。一方で、純粋に最安コストを追求するなら、他の競合ファンドとの比較検討も重要です。

商品概要(目的・特徴)

楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンドは、楽天投信投資顧問が運用するインデックス型の投資信託です。

【基本情報】

  • 商品名:楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド
  • 愛称:楽天・プラス・S&P500
  • 運用会社:楽天投信投資顧問株式会社
  • 設定日:2023年10月27日
  • 投資対象:米国株式(S&P500指数構成銘柄)
  • ベンチマーク:S&P500指数(円換算ベース)
  • 信託報酬:年率0.077%(税込)
  • 購入時手数料:なし(ノーロード)
  • 信託財産留保額:なし
  • 決算日:年1回(8月20日)
  • つみたてNISA対象:対象
  • 新NISA対象:つみたて投資枠・成長投資枠の両方で購入可能

このファンドの目的は、S&P500指数(円換算ベース)に連動する投資成果を目指すことです。米国の代表的な大型株500銘柄に投資することで、米国経済全体の成長を取り込むことができます。

仕組み(投資先・ベンチマーク・構成国・リスク構造)

投資手法とベンチマーク

楽天・プラス・S&P500は、「ファミリーファンド方式」を採用しています。投資家から集めた資金を「ベビーファンド」でまとめ、実際の運用は「マザーファンド」で行います。マザーファンドは主に米国籍のETF(上場投資信託)を通じてS&P500指数に連動する運用を行っています。

S&P500指数とは:米国の代表的な株価指数で、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場する大型株約500銘柄で構成されています。時価総額加重平均型の指数で、米国株式市場の約80%をカバーしています。

構成国と投資先の内訳

項目 内容
投資地域 米国100%
投資銘柄数 約500銘柄
主要構成銘柄 Apple、Microsoft、Amazon、NVIDIA、Alphabet(Google)など
セクター比率 情報技術、ヘルスケア、金融、一般消費財、通信サービスなど
通貨 米ドル(為替ヘッジなし)

リスク構造

リスクレベル:中〜高(5段階中4程度)

このファンドには以下のリスクが存在します:

  • 株価変動リスク:投資先企業の業績や市場環境の変化により、基準価額が変動します
  • 為替変動リスク:円高ドル安になると基準価額が下落します(為替ヘッジなし)
  • 地域集中リスク:米国市場のみに投資するため、米国経済の低迷が直接影響します
  • 流動性リスク:市場の混乱時に売買が困難になる可能性があります

過去の実績では、S&P500指数は年率10%前後のリターンを上げてきましたが、リーマンショックやコロナショックなど、大きな下落局面も経験しています。短期的には30%以上下落することもあるため、長期保有が前提となります。

メリット(3〜5個)

1. 業界最低水準の信託報酬(0.077%)

なぜ重要か:信託報酬は保有期間中ずっとかかるコストで、長期投資では運用成績に大きく影響します。0.077%という低コストは、他の競合ファンドと同等の最安水準です。

例えば、100万円を20年間運用した場合、信託報酬が0.5%と0.077%では、最終的な資産額に数十万円の差が生まれる可能性があります。

2. 楽天ポイントが貯まる・使える

なぜ重要か:楽天証券で保有すると、ポイント還元プログラムの対象となり、投資信託の保有残高に応じて楽天ポイントが貯まります。また、楽天ポイントを使って投資信託を購入することもできます。

楽天経済圏を活用している方にとっては、投資と日常の買い物がシームレスにつながる大きなメリットです。

3. 新NISA対応で税制優遇を最大限活用可能

なぜ重要か:このファンドは新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の両方で購入可能です。運用益が非課税になるため、長期投資において税制メリットを最大限に活用できます。

特に、つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)を併用することで、年間最大360万円まで非課税で投資できます。

4. 米国を代表する500社に分散投資

なぜ重要か:Apple、Microsoft、Amazon、NVIDIAなど、世界をリードする米国企業約500社に一度に投資できます。個別株投資と比べて分散効果が高く、特定企業の業績悪化リスクを軽減できます。

S&P500は時価総額加重型なので、成長性の高い大型企業の恩恵を受けやすい設計になっています。

5. 過去の長期リターンが優秀

なぜ重要か:S&P500指数は過去数十年にわたり、年平均約10%前後のリターンを実現してきました(配当込み)。もちろん過去の実績が将来を保証するものではありませんが、長期的な成長が期待できる市場といえます。

デメリット(3〜5個)

1. 地域分散が効かない(米国のみ)

リスク:米国経済が低迷した場合、ファンド全体のパフォーマンスが直撃を受けます。全世界株式ファンド(オールカントリーなど)と比べると、地域分散が効いていません。

米国市場が割高と感じる局面や、米国経済の長期停滞リスクを懸念する投資家には不向きです。

2. 為替リスクがある(円高で目減り)

リスク:このファンドは為替ヘッジを行っていないため、円高ドル安になると基準価額が下落します。例えば、米国株が横ばいでも、ドル円が110円から100円に円高になると、約9%の目減りが発生します。

為替の動きは予測困難で、長期的には米国株のリターンが為替変動を上回ることが多いとされていますが、短期的には大きな変動要因となります。

3. 小型株や新興国への投資は含まれない

リスク:S&P500は米国の大型株中心のため、成長性の高い小型株や新興国株式は対象外です。全世界株式や全米株式(VTIなど)と比べると、投資対象が限定的です。

米国小型株の成長機会を取り込みたい場合は、別途小型株ファンドを組み合わせる必要があります。

4. 設定から日が浅く、長期実績が少ない

リスク:このファンドは2023年10月に設定されたばかりで、運用実績がまだ短いという点には注意が必要です。ベンチマークとの連動性(トラッキングエラー)や運用体制の安定性については、今後の実績を見守る必要があります。

長期運用実績のある競合ファンド(eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)など)と比べると、この点は不安要素となります。

5. 配当金の二重課税(外国税額控除の対象外)

リスク:投資信託を通じて米国株に投資する場合、米国で源泉徴収された配当課税(10%)を取り戻すことができません(外国税額控除の適用外)。米国ETFを直接購入する場合は確定申告で一部取り戻せますが、投資信託では不可能です。

ただし、投資信託は再投資が自動で行われ、手間がかからないというメリットもあります。

他商品との比較(似ているETF/投信との比較表)

S&P500に連動する主要な投資信託を比較します。

項目 楽天・プラス・S&P500 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) SBI・V・S&P500
運用会社 楽天投信投資顧問 三菱UFJアセットマネジメント SBIアセットマネジメント
信託報酬(年率) 0.077% 0.09372% 0.0938%
設定日 2023年10月 2018年7月 2019年9月
純資産総額 約500億円(2024年12月時点) 約5兆円超 約2兆円超
新NISA対応 ◯(両枠対応) ◯(両枠対応) ◯(両枠対応)
楽天ポイント ◯(楽天証券) ◯(楽天証券でも購入可) ×
主な投資先 米国ETF経由 米国株式直接または先物 バンガードETF(VOO)
トラッキングエラー 小(実績蓄積中) 極小(実績豊富) 極小

比較のポイント

  • 信託報酬:楽天・プラス・S&P500が最安(0.077%)
  • 運用実績:eMAXIS Slimが最も長く、信頼性が高い
  • 純資産総額:eMAXIS Slimが圧倒的に大きく、流動性が高い
  • 楽天ポイント:楽天証券ユーザーなら楽天・プラス・S&P500が有利

結論:純粋な低コスト重視なら楽天・プラス・S&P500、運用実績の安定性重視ならeMAXIS Slim、SBI証券ユーザーならSBI・V・S&P500が選択肢となります。

初心者向けの注意点(誤解されやすいポイントを補足)

1. 「S&P500なら絶対安全」ではない

S&P500は優れた指数ですが、過去には50%以上下落した時期もあります(リーマンショック時など)。短期的な値動きに一喜一憂せず、長期保有が前提です。

2. 為替リスクを理解する

円高になると、米国株が上昇していても円ベースでは損失が出る可能性があります。為替は予測困難なため、ドルコスト平均法(積立投資)でリスクを分散することが推奨されます。

3. 「楽天」だから楽天証券でしか買えないわけではない

楽天・プラス・S&P500は楽天証券以外でも購入可能ですが、楽天ポイント還元などのメリットは楽天証券限定です。他の証券会社で購入する場合は、メリットが薄れる可能性があります。

4. 分配金は自動再投資される

このファンドは原則として分配金を出さず、自動的に再投資される仕組みです。定期的なキャッシュフローを求める方には不向きですが、複利効果を最大化したい長期投資家には最適です。

5. 新NISAでは「両枠」で買える

つみたて投資枠と成長投資枠の両方で購入できるため、年間最大360万円まで非課税投資が可能です。ただし、生涯投資枠(1800万円)は共通なので、計画的に活用しましょう。

ポートフォリオ例(用途の例であり推奨ではない)

以下は一例であり、個別の投資判断は自己責任で行ってください。

例1:米国株集中型ポートフォリオ

  • 楽天・プラス・S&P500:100%

向いている人:米国経済の成長を信じ、シンプルに投資したい人

例2:米国株+全世界株式の分散型

  • 楽天・プラス・S&P500:50%
  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):50%

向いている人:米国に重点を置きつつ、地域分散も取りたい人

例3:米国株+債券のバランス型

  • 楽天・プラス・S&P500:70%
  • eMAXIS Slim 先進国債券インデックス:30%

向いている人:リスクを抑えつつ、米国株のリターンも狙いたい人

例4:米国大型株+米国小型株

  • 楽天・プラス・S&P500:80%
  • SBI・V・米国小型株式インデックス・ファンド(SBI-VB):20%

向いている人:米国市場全体をカバーしたい人

よくある質問(FAQ)

Q1. 楽天・プラス・S&P500とeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)はどちらがおすすめですか?

A1. 信託報酬は楽天・プラス・S&P500が最安(0.077%)ですが、eMAXIS Slimは運用実績が長く、純資産総額も大きいため安定性があります。楽天証券でポイント還元を重視するなら楽天・プラス・S&P500、運用実績重視ならeMAXIS Slimを選ぶとよいでしょう。

Q2. 為替リスクが心配です。円高になったらどうなりますか?

A2. 円高ドル安になると、米国株が上昇していても円ベースの基準価額は下落する可能性があります。為替リスクを避けたい場合は、為替ヘッジ付きファンドを検討するか、積立投資でリスクを分散する方法があります。ただし、長期的には米国株のリターンが為替変動を上回る傾向があります。

Q3. 新NISAでどちらの枠を使うべきですか?

A3. つみたて投資枠(年間120万円)で積立購入し、余裕があれば成長投資枠(年間240万円)で追加購入する方法が一般的です。両枠を併用することで、年間最大360万円まで非課税投資が可能です。

Q4. 楽天証券以外で買うメリットはありますか?

A4. 楽天証券以外でも購入できますが、楽天ポイント還元などのメリットは楽天証券限定です。他の証券会社(SBI証券、マネックス証券など)で購入する場合は、各社のポイントプログラムやキャンペーンを比較検討するとよいでしょう。

Q5. S&P500は今後も成長しますか?

A5. 過去の実績では年平均約10%のリターンを上げてきましたが、将来のリターンは保証されていません。米国経済の成長、企業の収益性、金利動向、地政学リスクなど、さまざまな要因が影響します。長期的な視点で分散投資を心がけることが重要です。

Q6. 積立投資と一括投資、どちらがよいですか?

A6. 初心者には積立投資(ドルコスト平均法)が推奨されます。毎月一定額を投資することで、価格変動リスクを平準化でき、心理的な負担も軽減されます。一括投資は市場タイミングを見極める必要があり、初心者には難易度が高いです。

まとめ(箇条書き)

  • 楽天・プラス・S&P500は、信託報酬0.077%と業界最低水準の低コストファンド
  • 米国の代表的な大型株500社に分散投資でき、長期的な成長が期待できる
  • 楽天証券で購入すれば楽天ポイントが貯まり、楽天経済圏のメリットを享受できる
  • 新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の両方で購入可能で、税制優遇を最大限活用できる
  • 地域分散が効かない(米国のみ)ため、全世界株式ファンドとの併用も検討すべき
  • 為替リスクがあり、円高局面では基準価額が下落する可能性がある
  • 設定から日が浅く、長期運用実績がまだ少ない点には注意
  • 競合ファンド(eMAXIS Slim、SBI・V・S&P500)と比較し、自分の投資スタイルに合った選択が重要

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。

記事内のデータは2024年12月時点のものであり、最新の情報は運用会社の公式サイトや目論見書で必ずご確認ください。投資信託は元本保証がなく、市場環境の変化により損失が生じる可能性があります。

投資にあたっては、必ず交付目論見書および目論見書補完書面をお読みいただき、商品の内容やリスクを十分にご理解のうえ、ご自身の判断でお願いいたします。

カマタ

カマタ

はじめまして、カマタです。
これまで学んできた投資の知識を少しでも誰かの役に立てられればと思い、このブログを始めました。
無理なく続けながら、分かりやすい情報を発信していきます。

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