楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンドの評価レビュー|メリット・デメリットと初心者向け解説

世界株式市場の投資イメージ - 楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンドレビュー

この商品の結論

楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド(通称:楽天オルカン)は、世界中の株式市場に幅広く分散投資したい人に適した投資信託です。特に、投資初心者やこれから長期の資産形成を始めたい方、新NISAのつみたて投資枠を活用したい方に向いています。業界最低水準の運用コスト、楽天証券での使い勝手の良さ、シンプルで分かりやすい投資対象が魅力です。一方で、比較的新しい商品のため運用実績が短く、為替リスクや新興国株式の値動きには注意が必要です。

商品の概要

楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンドは、楽天投信投資顧問が2023年10月に設定した全世界株式型のインデックスファンドです。MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)をベンチマーク(目標とする指標)としており、先進国から新興国まで、約50カ国・3,000銘柄以上に投資することで、世界経済全体の成長を享受することを目的としています。

「つみたてNISA対象」および「新NISA対象」商品であり、税制優遇を受けながら長期投資できる点も大きな特徴です。楽天証券を中心に販売されており、楽天ポイントでの投資や、投資によるポイント還元などの特典も活用できます。

仕組み

ベンチマーク:MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI、配当込み、円換算ベース)

投資先:世界の先進国23カ国と新興国24カ国の大型・中型株約3,000銘柄。地域別の構成比率は米国が約60%、日本が約6%、欧州が約15%、新興国が約10%程度となっています(構成比率は市場動向により変動します)。

投資手法:インデックス運用(パッシブ運用)。ベンチマークと同じ値動きを目指すため、運用担当者の独自判断を極力排除し、指数に連動するよう機械的に投資を行います。

為替ヘッジ:なし。外国株式に投資するため、為替変動の影響を受けます。

メリット

1. 業界最低水準の運用コスト

信託報酬(運用管理費用)は年率0.0561%程度(2024年時点)で、全世界株式型ファンドの中でも最安クラスです。長期投資では、わずかなコスト差が将来のリターンに大きく影響するため、低コストは重要なメリットです。

2. 世界中に幅広く分散投資できる

1本のファンドで先進国・新興国合わせて約50カ国、3,000銘柄以上に投資できます。特定の国や地域に偏らず、世界経済全体の成長を取り込めるため、リスク分散効果が高いのが特徴です。

3. 楽天証券での利便性が高い

楽天証券では、楽天カード決済でのつみたて投資でポイントが貯まり、また楽天ポイントを使って投資することも可能です。楽天経済圏を活用している方にとっては使い勝手が良い商品です。

4. 新NISA対象でつみたて投資に最適

新NISAのつみたて投資枠の対象商品であり、年間120万円まで非課税で投資できます。長期・積立・分散の原則に沿った投資がしやすい設計です。

5. 透明性が高くシンプル

ベンチマークが明確で、運用方針も分かりやすいため、投資初心者でも理解しやすい商品です。運用報告書や月次レポートで投資先や運用状況を確認できます。

デメリット

1. 運用実績が短い

2023年10月に設定された新しい商品のため、長期的な運用実績がまだありません。ベンチマークとの連動性や、市場急落時の対応など、実績を通じた検証ができていない点は注意が必要です。

2. 為替リスクがある

外国株式に投資するため、円高局面では基準価額が下落する可能性があります。特に米国株式の比率が高いため、ドル円の為替変動の影響を受けやすい点に留意が必要です。

3. 新興国株式のボラティリティ(値動きの大きさ)

全世界株式には新興国も含まれるため、政治・経済の不安定さや通貨リスクなどにより、価格変動が大きくなる場合があります。

4. 短期的な値下がりリスク

株式100%のファンドであるため、市場環境が悪化すると大きく値下がりする可能性があります。リーマンショックやコロナショックのような局面では、基準価額が一時的に30〜40%下落することもあり得ます。

5. 配当金が自動再投資される

分配金を受け取ることはできず、配当は自動的に再投資されます。定期的なキャッシュフローを求める方には不向きです。

他商品との比較

商品名 運用会社 信託報酬(年率) 純資産総額 設定日
楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド 楽天投信投資顧問 0.0561%程度 約1,500億円 2023年10月
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 三菱UFJアセットマネジメント 0.05775%以内 約3兆円超 2018年10月
SBI・全世界株式インデックス・ファンド SBIアセットマネジメント 0.1022%程度 約1,200億円 2017年12月

比較のポイント:

  • 信託報酬:楽天オルカンとeMAXIS Slimオルカンはほぼ同水準で業界最安クラス
  • 純資産総額:eMAXIS Slimは圧倒的に大きく、運用の安定性が高い
  • 運用実績:eMAXIS Slimの方が長く、ベンチマークとの連動実績も確認しやすい
  • 販売会社:楽天オルカンは楽天証券、eMAXIS Slimは多くの証券会社で購入可能

どちらも優れた商品ですが、楽天証券ユーザーなら楽天オルカン、他の証券会社も視野に入れるならeMAXIS Slimという選び方が一般的です。

初心者向けの注意点

1. 長期投資を前提にする

株式100%のファンドは短期的には値動きが大きいため、最低でも10年以上の長期投資を前提に考えましょう。途中で売却すると、損失が確定する可能性があります。

2. 一括投資よりつみたて投資

投資初心者は、一括で大きな金額を投資するより、毎月一定額を積み立てる「ドルコスト平均法」がおすすめです。価格変動リスクを分散できます。

3. 他の資産とのバランスを考える

全資産を株式ファンドに集中させるのではなく、預貯金や債券など値動きの異なる資産と組み合わせることで、リスクを抑えることができます。

4. 為替の影響を理解する

円安時は基準価額が上がりやすく、円高時は下がりやすい傾向があります。為替ヘッジがないため、為替変動も含めたリターンとなることを理解しておきましょう。

5. 楽天証券以外での取扱いを確認

楽天証券以外の金融機関での取扱いが限定的な場合があるため、将来的に証券会社を変更する可能性がある方は注意が必要です。

ポートフォリオ例(用途例として)

※以下は一例であり、個別商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

例1:投資初心者の積立投資(新NISA活用)

  • 楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド:100%
  • 投資額:月3万円(年間36万円)
  • 投資期間:20年以上

シンプルに1本で世界分散ができ、管理が楽です。

例2:リスクを抑えたバランス型

  • 楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド:60%
  • 国内債券ファンド:30%
  • 預貯金:10%

株式の比率を下げ、債券や預貯金でリスクを抑えるバランス型です。

例3:地域分散を自分で調整したい方

  • 楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド:50%
  • 国内株式インデックスファンド:30%
  • 米国株式インデックスファンド:20%

全世界株式をベースに、国内や米国の比率を自分で調整する組み合わせです。

まとめ

  • 楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンドは、世界中の株式に低コストで分散投資できる優れた商品
  • 信託報酬0.0561%と業界最低水準のコストで、長期投資に適している
  • 新NISA対象で、つみたて投資枠を活用した非課税投資が可能
  • 楽天証券での使い勝手が良く、楽天ポイントとの連携も魅力
  • 運用実績が短い点、為替リスク、新興国株式の値動きには注意が必要
  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)との比較では、コストはほぼ同等だが、純資産総額と運用実績ではeMAXIS Slimが優位
  • 長期・積立・分散投資を前提に、10年以上の投資期間で資産形成を目指す方に向いている
  • 個別商品の「買い推奨」ではなく、自身の投資目的やリスク許容度に応じて選択することが重要

投資にはリスクが伴います。ご自身の判断と責任において、計画的な資産形成を行ってください。

カマタ

カマタ

はじめまして、カマタです。
これまで学んできた投資の知識を少しでも誰かの役に立てられればと思い、このブログを始めました。
無理なく続けながら、分かりやすい情報を発信していきます。

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