データ参照日:2024年11月末時点
冒頭サマリ(結論)
ニッセイ・グローバルリートインデックスファンド(購入・換金手数料なし)は、世界の不動産投資信託(REIT)に分散投資できる低コストなインデックスファンドです。株式や債券とは異なる値動きをする資産として、ポートフォリオの分散効果を高めたい投資家に適しています。
特に以下のような方におすすめです:
- 株式100%のポートフォリオに不動産セクターを加えて分散したい方
- インカムゲイン(分配金収入)を重視しながらも、値上がり益も期待したい方
- 世界の不動産市場に低コストで投資したい長期投資家
- 新NISAの成長投資枠で資産クラスを多様化したい方
ただし、REITは株式以上に金利変動の影響を受けやすく、値動きが大きい点には注意が必要です。また、配当収益を重視する商品設計のため、基準価額の成長スピードは株式インデックスファンドより緩やかになる傾向があります。
商品概要(目的・特徴)
商品基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | ニッセイグローバルリートインデックスファンド(購入・換金手数料なし) |
| 運用会社 | ニッセイアセットマネジメント株式会社 |
| 投資対象 | 世界各国の不動産投資信託(REIT) |
| ベンチマーク | S&P先進国REIT指数(除く日本、配当込み、円換算ベース) |
| 信託報酬(年率) | 0.297%(税込) |
| 実質コスト(参考) | 約0.31%前後(2023年度実績) |
| 設定日 | 2013年12月10日 |
| 純資産総額 | 約850億円(2024年11月時点) |
| 決算頻度 | 年1回(11月12日) |
| 購入時手数料 | なし(ノーロード) |
| 信託財産留保額 | なし |
| 新NISA対応 | 成長投資枠対応 |
本ファンドは、世界の主要先進国(日本を除く)の不動産投資信託に投資することで、オフィスビル、商業施設、物流施設、住宅、ホテルなど多様な不動産セクターへの分散投資を実現します。
仕組み(投資先・ベンチマーク・構成国・リスク構造)
投資の仕組み
このファンドはファミリーファンド方式を採用しており、投資家から集めた資金を「ニッセイグローバルリートインデックスマザーファンド」に投資し、マザーファンドが実際に海外のREIT銘柄に投資します。
ベンチマーク:S&P先進国REIT指数(除く日本)
この指数は、日本を除く先進国の上場REITで構成される時価総額加重平均型の指数です。配当を再投資したベースで計算されるため、REITの配当収入も含めた総合的なパフォーマンスを測定します。
主な構成国・地域(2024年11月時点)
| 国・地域 | 構成比率 |
|---|---|
| 米国 | 約68% |
| オーストラリア | 約8% |
| イギリス | 約6% |
| カナダ | 約4% |
| フランス | 約3% |
| その他先進国 | 約11% |
米国が約7割を占める構造となっており、実質的には米国REIT市場の動向に大きく影響を受けます。
主な不動産セクター構成
- 特化型REIT(Specialized REITs):データセンター、通信塔、セルフストレージなど(約25%)
- 産業施設・物流REIT:倉庫、物流センターなど(約15%)
- 住宅REIT:集合住宅、賃貸マンションなど(約13%)
- 小売REIT:ショッピングセンター、モールなど(約10%)
- オフィスREIT:オフィスビルなど(約8%)
- ヘルスケアREIT:高齢者施設、医療施設など(約8%)
- その他:ホテル、複合型など(約21%)
リスク構造
REITへの投資には以下のリスクがあります:
- 価格変動リスク:市場環境や不動産市況の変動により、基準価額が上下します
- 金利リスク:REITは借入で不動産を取得するため、金利上昇時には収益性が悪化し、価格が下落しやすくなります
- 為替リスク:外貨建て資産のため、円高時には基準価額が目減りします(為替ヘッジなし)
- 不動産市況リスク:景気後退、空室率上昇、賃料下落などが収益に影響します
- 流動性リスク:市場環境悪化時に売買が困難になる可能性があります
REITの標準偏差(リスク指標)は株式とほぼ同等かそれ以上であり、「不動産=安定」というイメージとは異なり、値動きは大きい資産クラスです。
メリット
1. 低コストで世界の不動産市場に分散投資できる
信託報酬0.297%という水準は、グローバルREITファンドの中では業界最低水準のコストです。個人が直接、海外の不動産やREITを購入するには多額の資金と専門知識が必要ですが、本ファンドなら数千円から世界中の優良不動産に間接的に投資できます。
なぜ重要か:長期投資においてコストは確実なリターンの減少要因です。0.1%のコスト差でも、20年間では数%のリターン差になります。
2. 株式や債券との相関が低く、分散効果が高い
REITは株式や債券とは異なる値動きの特性を持つため、ポートフォリオに組み入れることで分散効果が期待できます。特に、不動産は実物資産としてインフレに強い側面があり、インフレ時の資産保全効果も期待されます。
なぜ重要か:資産クラスを分散することで、特定の市場環境でのダメージを軽減でき、長期的なリスク調整後リターンの向上が期待できます。
3. 配当収入(分配金)の源泉として活用できる
REITは利益の大部分を投資家に分配する仕組みのため、相対的に高い配当利回りが期待できます。本ファンドは年1回決算型で、分配金が出る可能性があります(ただし、分配方針は運用会社の判断によります)。
なぜ重要か:老後資金や定期的な収入源を求める投資家にとって、インカムゲインは重要な要素です。株式の配当金だけでなく、不動産からの賃料収入も間接的に享受できます。
4. 購入・換金手数料が無料(ノーロード)
販売手数料が一切かからないため、投資元本を100%運用に回せます。また、信託財産留保額もゼロのため、解約時のコストも発生しません。
なぜ重要か:つみたて投資では何度も買付を行うため、購入時手数料がないことは長期的に大きなコスト削減につながります。
5. 新NISA成長投資枠に対応
2024年から始まった新NISA制度の成長投資枠で購入できるため、運用益が非課税になります。REITの配当収益も、通常は約20%の税金がかかりますが、NISA口座内では非課税で再投資されます。
なぜ重要か:長期投資において税制優遇は大きなメリットです。特に配当収入が多いREITでは、非課税の恩恵をより大きく受けられます。
デメリット
1. 金利上昇局面では価格が下落しやすい
REITは金利に非常に敏感な資産です。金利が上昇すると、①REITの借入コストが増加して収益性が悪化、②債券など他の利回り商品との競争力が低下、③不動産の取得価格が低下、といった要因で価格が下落する傾向があります。
リスクの具体例:2022年、米国が急速に金利を引き上げた際、米国REITは年間で約25%下落しました。株式以上の下落率を記録した年もあります。
2. 値動きが大きく、株式並みの価格変動リスクがある
「不動産=安定」というイメージとは異なり、REITのボラティリティ(価格変動の大きさ)は株式とほぼ同等です。特に金融危機やパンデミックのような危機時には、株式と連動して大きく下落することがあります。
誤解されやすいポイント:REITは不動産に投資していますが、証券市場で取引されるため、投資家心理や市場のセンチメントに大きく左右されます。
3. 米国市場への集中度が高い
構成比率の約68%が米国REITのため、米国市場の動向に大きく影響を受けます。「グローバル分散」という名称ですが、実質的には米国REIT中心のファンドであることを理解しておく必要があります。
リスクの意味:米国経済の減速や米国不動産市況の悪化が、ファンド全体のパフォーマンスに直結します。
4. 株式インデックスほどの高成長は期待しにくい
REITは利益の大部分を配当として分配するため、企業の内部留保や再投資による成長余地が限られます。そのため、長期的なキャピタルゲイン(値上がり益)は、S&P500やオールカントリーのような株式インデックスには及ばない傾向があります。
過去実績の参考:過去10年間(2014-2023年)の年率リターンは、S&P500が約12%だったのに対し、グローバルREIT指数は約5-6%程度でした。
5. 為替リスクがあり、円高時には基準価額が目減りする
本ファンドは為替ヘッジを行わないため、円高時には外貨建て資産の評価額が目減りします。特に米ドル/円の為替レートの影響を大きく受けます。
リスクの具体例:2022年から2024年にかけて円安が進み、多くの外国資産ファンドがプラスリターンとなりましたが、今後円高に転じれば逆の動きになります。
他商品との比較
グローバルREITや類似の不動産関連ファンドとの比較表です。
| ファンド名 | 信託報酬(年率) | 投資対象 | ベンチマーク | 純資産総額 |
|---|---|---|---|---|
| ニッセイ・グローバルリートインデックス | 0.297% | 先進国REIT(除く日本) | S&P先進国REIT指数 | 約850億円 |
| eMAXIS Slim 国内リートインデックス | 0.187% | 日本REIT(J-REIT) | 東証REIT指数 | 約150億円 |
| 三井住友・DC外国リートインデックスファンド | 0.297% | 先進国REIT(除く日本) | S&P先進国REIT指数 | 約500億円 |
| たわらノーロード 先進国リート | 0.297% | 先進国REIT(除く日本) | S&P先進国REIT指数 | 約300億円 |
| Smart-i 先進国リートインデックス | 0.22% | 先進国REIT(除く日本) | S&P先進国REIT指数 | 約100億円 |
比較のポイント
- 最低コスト重視なら:Smart-i 先進国リートインデックス(信託報酬0.22%)が最安ですが、純資産総額が小さく、運用の安定性ではニッセイが優位
- 日本REITに投資したいなら:eMAXIS Slim 国内リートインデックスが低コストで選択肢に
- 実績と規模重視なら:ニッセイ・グローバルリートは純資産総額が最大級で、運用の安定性が高い
初心者向けの注意点
1. 「不動産=安定」という誤解に注意
実物不動産と上場REITは異なります。REITは証券市場で取引されるため、株式並みの価格変動があることを理解してください。「安定資産」として大きな比率で保有すると、想定外の損失を被る可能性があります。
2. ポートフォリオ全体の5-15%程度が目安
REITは分散投資の一部として組み入れるのが一般的です。初心者の場合、ポートフォリオ全体の5-15%程度を目安にするのが無難です。メイン資産(株式インデックスなど)があった上で、補完的に組み入れることを推奨します。
3. 金利動向を定期的にチェック
REIT投資において、中央銀行の金利政策は最も重要な要素の一つです。金利上昇局面では慎重に、金利低下・安定局面では積極的に投資するなど、マクロ経済環境を意識することが大切です。
4. つみたて投資で時間分散を
REITは値動きが大きいため、一括投資よりもつみたて投資(ドルコスト平均法)でリスクを分散することをおすすめします。毎月定額を投資することで、高値掴みのリスクを軽減できます。
5. 配当金の再投資設定を確認
REITの魅力の一つは配当収入ですが、長期的な資産形成を目指すなら分配金は再投資に回すことで、複利効果を最大化できます。証券会社の設定を確認しましょう。
ポートフォリオ例
※以下は用途の例示であり、推奨ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
例1:バランス重視型(リスク:中)
- eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー):60%
- eMAXIS Slim 先進国債券インデックス:25%
- ニッセイ・グローバルリートインデックス:10%
- 現金・預金:5%
特徴:株式、債券、REITの3資産に分散し、リスクとリターンのバランスを取ったポートフォリオ。
例2:成長重視型(リスク:高)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):70%
- eMAXIS Slim 新興国株式インデックス:15%
- ニッセイ・グローバルリートインデックス:10%
- 現金・預金:5%
特徴:株式中心のアグレッシブなポートフォリオに、REITを組み入れることで若干の分散効果を付加。
例3:インカム重視型(リスク:中)
- 楽天・米国高配当株式(VYM):40%
- eMAXIS Slim 先進国債券インデックス:30%
- ニッセイ・グローバルリートインデックス:20%
- eMAXIS Slim 国内リートインデックス:5%
- 現金・預金:5%
特徴:配当収入を重視したポートフォリオ。高配当株式とREITを組み合わせることで、インカムゲインを最大化。
よくある質問(FAQ)
Q1. REITと実物不動産投資の違いは何ですか?
A. REITは証券市場で売買できる流動性の高い金融商品で、少額から投資可能です。一方、実物不動産は数千万円以上の資金が必要で、売却に時間がかかり、管理の手間もかかります。REITは専門家が運用し、複数の不動産に分散投資できる点がメリットですが、市場の値動きに左右されやすい点が実物不動産との大きな違いです。
Q2. なぜREITは金利に敏感なのですか?
A. REITは不動産を取得する際に借入を活用するため、金利が上昇すると借入コストが増加し、収益性が悪化します。また、金利上昇時には債券などの他の利回り商品が魅力的になり、相対的にREITの投資魅力度が低下します。さらに、金利上昇は不動産価格の下落要因にもなるため、REITは金利動向に大きく影響されます。
Q3. このファンドは分配金が出ますか?
A. 本ファンドは年1回決算型(11月)ですが、分配金の支払いは運用会社の判断によります。過去の実績では、分配金を出さずに基準価額の成長に注力する方針を取ることが多いです。分配金を求める場合は、毎月分配型のREITファンドを検討する必要がありますが、税効率を考えると再投資型の方が長期投資には有利です。
Q4. 日本のREIT(J-REIT)には投資しないのですか?
A. 本ファンドのベンチマークは「日本を除く先進国REIT」のため、J-REITには投資しません。日本の不動産市場にも投資したい場合は、「eMAXIS Slim 国内リートインデックス」などのJ-REITファンドを別途組み入れる必要があります。
Q5. 新NISAのつみたて投資枠では買えますか?
A. 本ファンドはつみたて投資枠の対象外で、成長投資枠のみで購入可能です。REITファンドは一般的に、金融庁が定めるつみたて投資枠の基準(信託報酬の上限など)を満たさないため、成長投資枠での購入となります。
Q6. 米国REITが7割を占めるなら、米国REIT専用ファンドの方が良いですか?
A. 確かに米国の比率が高いですが、オーストラリア、イギリス、カナダなど他の先進国REITも含まれることで、地域分散のメリットがあります。また、指数の構成は市場環境により変動するため、将来的に他地域の比率が高まる可能性もあります。グローバル分散を重視するなら本ファンド、米国集中を望むなら米国REIT専用ファンドを選ぶと良いでしょう。
まとめ
- ニッセイ・グローバルリートインデックスファンドは、世界の不動産市場に低コストで分散投資できる優れたインデックスファンド
- 信託報酬0.297%は業界最低水準で、長期投資に適したコスト構造
- 株式や債券とは異なる値動きをするため、ポートフォリオの分散効果が期待できる
- 配当収入(インカムゲイン)を重視する投資家にも適している
- ただし、金利上昇局面では大きく下落するリスクがあり、値動きは株式並みに大きい
- 米国市場が約7割を占めるため、実質的には米国REIT中心のファンド
- 長期的なキャピタルゲインは株式インデックスには及ばない傾向がある
- 初心者はポートフォリオの5-15%程度を目安に、補完的な位置づけで組み入れるのがおすすめ
- 新NISA成長投資枠に対応しており、税制優遇を活用できる
- つみたて投資でリスクを分散し、長期保有を前提とした投資が望ましい
免責事項
本記事は、ニッセイ・グローバルリートインデックスファンドに関する一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資助言や投資勧誘には該当せず、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。
記事内のデータや数値は2024年11月末時点の情報に基づいており、市場環境の変化により将来的に変動する可能性があります。投資信託の基準価額は日々変動し、元本が保証されるものではありません。過去の運用実績は将来の成果を保証するものではありません。
投資判断を行う際は、必ず最新の目論見書や運用報告書をご確認いただき、ご不明な点は金融機関や専門家にご相談ください。