ニッセイ外国株式インデックスファンドの評価レビュー|メリット・デメリットと初心者向け解説

ニッセイ外国株式インデックスファンドの評価レビュー

データ参照日:2025年1月時点

冒頭サマリ(結論)

ニッセイ外国株式インデックスファンドは、日本を除く主要先進国の株式市場に低コストで分散投資できる投資信託です。信託報酬0.09889%以内という業界最低水準の低コストと、長年の運用実績により、つみたてNISAやiDeCoで先進国株式への投資を検討している初心者に特に適しています。eMAXIS Slimシリーズと並ぶ低コスト投信の代表格として、長期の資産形成を目指す投資家にとって有力な選択肢となります。

本ファンドは米国株式が約7割を占めるものの、欧州や太平洋地域の先進国にも分散されており、米国一極集中を避けつつ、新興国リスクを取りたくない方にも向いています。ただし、為替リスクや日本株式が含まれない点には注意が必要です。

商品概要(目的・特徴)

ニッセイ外国株式インデックスファンド(正式名称:<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド)は、ニッセイアセットマネジメントが運用する、日本を除く主要先進国の株式に投資するインデックスファンドです。

基本情報

項目 内容
商品名 ニッセイ外国株式インデックスファンド
運用会社 ニッセイアセットマネジメント
投資対象 日本を除く主要先進国の株式
ベンチマーク MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)
信託報酬 年率0.09889%以内(税込)
設定日 2013年12月10日
純資産総額 約1兆円超(2025年1月時点)
つみたてNISA 対象
iDeCo 取扱あり(一部金融機関)

本ファンドの最大の特徴は、購入時手数料なし(ノーロード)業界最低水準の信託報酬です。2013年の設定以来、低コスト路線を貫き、eMAXIS Slimシリーズの登場前から投資家に支持されてきました。

仕組み(投資先・ベンチマーク・構成国・リスク構造)

ベンチマークとは

本ファンドはMSCIコクサイ・インデックス(MSCI Kokusai Index)をベンチマークとしています。これは、日本を除く先進国22〜23カ国の大型・中型株約1,300銘柄で構成される株価指数です。

地域構成比

地域 構成比率(目安)
米国 約70〜72%
欧州 約18〜20%
太平洋地域(カナダ・豪州など) 約8〜10%

※構成比率は市場環境により変動します

主要構成国

米国、イギリス、カナダ、フランス、ドイツ、スイス、オーストラリア、オランダ、スウェーデン、デンマークなど

主要組入銘柄(上位10銘柄の例)

  • Apple(アップル)
  • Microsoft(マイクロソフト)
  • Amazon(アマゾン)
  • NVIDIA(エヌビディア)
  • Alphabet(グーグル)
  • Meta Platforms(メタ)
  • Tesla(テスラ)
  • その他グローバル大型株

リスク構造

リスクレベル:中〜高

  • 価格変動リスク:株式市場の変動により基準価額が上下します
  • 為替リスク:外貨建て資産のため、円高局面では基準価額が下落します
  • カントリーリスク:投資対象国の政治・経済情勢の影響を受けます
  • 流動性リスク:市場環境により売買が困難になる可能性があります

メリット(3〜5個)

1. 業界最低水準の信託報酬

信託報酬が年率0.09889%以内と非常に低く、長期保有時のコストを大幅に抑えられます。なぜ重要か:長期投資では、わずかなコスト差が複利効果により大きな差となるため、低コストは資産形成の重要な要素です。

2. 十分な分散投資効果

先進国約22カ国、約1,300銘柄に分散投資することで、特定の国や企業への集中リスクを軽減できます。なぜ重要か:分散投資により、一部の市場が低迷しても他の市場でカバーできる可能性が高まり、安定的なリターンを目指せます。

3. 長年の運用実績と安定性

2013年設定以来、10年以上の運用実績があり、純資産総額も1兆円を超える規模となっています。なぜ重要か:運用実績が長く、純資産額が大きいファンドは、運用の安定性が高く、償還リスクも低いため安心して長期保有できます。

4. つみたてNISA・iDeCo対応

つみたてNISA対象商品であり、主要ネット証券のiDeCoでも取扱いがあるため、税制優遇制度を最大限活用できます。なぜ重要か:非課税制度を利用することで、運用益を最大化でき、資産形成の効率が大幅に向上します。

5. 米国一極集中の回避

米国株式が約7割を占めるものの、欧州や太平洋地域にも分散されており、S&P500やVTIよりも地域分散が効いていますなぜ重要か:米国市場の低迷時にも、他地域でのパフォーマンスによりリスクを分散できます。

デメリット(3〜5個)

1. 日本株式が含まれない

本ファンドは日本を除く先進国が対象のため、日本株式の値上がり益を享受できません。日本経済や日本企業の成長を取り込みたい場合は、別途日本株式ファンドを組み合わせる必要があります。

2. 為替リスクの影響

外貨建て資産のため、円高局面では基準価額が下落します。株価が上昇しても、円高が進めば円換算でのリターンが減少する可能性があります。為替ヘッジは行っていないため、為替変動の影響を直接受けます。

3. 新興国への投資は含まれない

先進国のみが対象で、中国、インド、ブラジルなどの新興国株式は含まれません。新興国の高成長を取り込みたい場合は、別途新興国株式ファンドや全世界株式ファンドの検討が必要です。

4. 米国株式の比率が高い

地域分散されているとはいえ、米国が約7割を占めるため、米国市場の影響を強く受けます。米国経済の低迷や米国市場の調整局面では、基準価額が大きく下落するリスクがあります。

5. eMAXIS Slimシリーズとの競合

同じMSCIコクサイ・インデックスを追跡するeMAXIS Slim 先進国株式インデックスと信託報酬がほぼ同水準のため、差別化が難しくなっています。両者の選択は、取扱金融機関やポイント還元率などの付加価値で判断することになります。

他商品との比較(似ているETF/投信との比較表)

項目 ニッセイ外国株式 eMAXIS Slim 先進国株式 楽天・全米株式(楽天VTI) eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)
投資対象 日本除く先進国 日本除く先進国 米国全体 全世界(日本含む)
ベンチマーク MSCIコクサイ MSCIコクサイ CRSP USトータル・マーケット MSCI ACWI
信託報酬 0.09889%以内 0.09889%以内 0.162%程度 0.05775%以内
米国比率 約70% 約70% 100% 約60%
新興国 含まず 含まず 含まず 含む(約10%)
日本株式 含まず 含まず 含まず 含む(約5%)
つみたてNISA 対象 対象 対象 対象
純資産総額 約1兆円超 約1兆円超 約1.3兆円 約4兆円超
設定日 2013年12月 2017年2月 2017年9月 2018年10月

比較のポイント

  • eMAXIS Slim 先進国株式との違い:投資対象とコストがほぼ同じ。選択基準は取扱金融機関やポイント還元率
  • 楽天VTIとの違い:楽天VTIは米国のみ、本ファンドは欧州・太平洋地域も含む
  • オルカンとの違い:オルカンは新興国と日本を含む全世界、本ファンドは先進国のみ

初心者向けの注意点(誤解されやすいポイントを補足)

「外国株式」は米国株式ではない

「外国株式」という名称から米国株式のみと誤解されがちですが、欧州や太平洋地域も含む先進国22カ国が対象です。ただし、米国が約7割を占めるため、米国市場の影響は大きく受けます。

「先進国」には新興国は含まれない

中国、インド、ブラジル、韓国などの新興国株式は含まれません。新興国への投資も希望する場合は、別途新興国株式ファンドを組み合わせるか、全世界株式ファンド(オルカン)を検討してください。

為替ヘッジはされていない

本ファンドは為替ヘッジなしです。円高になると基準価額が下落し、円安になると上昇します。為替リスクを避けたい場合は、為替ヘッジ型のファンドを検討する必要があります。

日本株式は別途検討が必要

本ファンドだけでは日本株式への投資はゼロです。日本経済への投資も組み入れたい場合は、国内株式ファンド(TOPIX連動型など)を別途積み立てるか、全世界株式ファンドを選ぶことを検討してください。

「インデックス」は確実な利益を保証しない

インデックスファンドは市場平均に連動しますが、市場全体が下落すれば損失が発生します。「インデックス投資=安全」ではなく、長期保有によりリスクを分散する戦略であることを理解してください。

ポートフォリオ例(用途の例であり推奨ではない)

※以下は一例であり、個別の投資推奨ではありません

パターン1:先進国株式100%(積極型)

  • ニッセイ外国株式インデックスファンド:100%
  • 特徴:先進国株式のみでシンプル。米国中心に欧州・太平洋地域にも分散
  • 向いている人:長期投資前提で、新興国や日本株は不要と考える方

パターン2:先進国+日本株式(バランス型)

  • ニッセイ外国株式インデックスファンド:70%
  • eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX):30%
  • 特徴:日本株式を加えることで地域分散を強化
  • 向いている人:日本経済の成長も取り込みたい方

パターン3:先進国+新興国株式(グローバル分散型)

  • ニッセイ外国株式インデックスファンド:80%
  • eMAXIS Slim 新興国株式インデックス:20%
  • 特徴:新興国の成長性も取り込みつつ、先進国中心で安定性を確保
  • 向いている人:新興国にも投資したいが、リスクは抑えたい方

パターン4:株式+債券(安定重視型)

  • ニッセイ外国株式インデックスファンド:60%
  • eMAXIS Slim 先進国債券インデックス:40%
  • 特徴:債券を組み合わせることで値動きを抑制
  • 向いている人:リスクを抑えつつ、株式の成長も取りたい方

よくある質問(FAQ)

Q1. eMAXIS Slim 先進国株式インデックスとどちらを選ぶべきですか?

A. 両者は投資対象(MSCIコクサイ・インデックス)と信託報酬がほぼ同じです。選択基準は、取扱金融機関、ポイント還元率、運用会社の好みなどになります。SBI証券や楽天証券ではどちらも取扱いがあるため、ポイント還元やキャンペーンで判断するとよいでしょう。

Q2. 全世界株式(オルカン)とどちらが良いですか?

A. 新興国と日本株式を含めたい場合はオルカン先進国のみで十分と考える場合は本ファンドです。オルカンの方が信託報酬がやや低く(0.05775%以内)、より広範な分散が可能ですが、新興国のリスクも取ることになります。初心者には、より広く分散されたオルカンが推奨される傾向があります。

Q3. 楽天VTI(全米株式)との違いは何ですか?

A. 楽天VTIは米国株式100%、本ファンドは米国約70%+欧州・太平洋地域約30%です。米国への集中度を下げたい場合は本ファンド、米国市場の成長性を最大限取り込みたい場合は楽天VTIが適しています。

Q4. つみたてNISAとiDeCoのどちらで買うべきですか?

A. つみたてNISAは60歳前でもいつでも引き出し可能iDeCoは60歳まで引き出し不可ですが全額所得控除されます。老後資金としてしっかり積み立てたい場合はiDeCo、ライフイベント(住宅購入、教育資金など)での引き出しも想定する場合はつみたてNISAが適しています。

Q5. 為替リスクが心配です。為替ヘッジ型を選ぶべきですか?

A. 為替ヘッジ型は円高リスクを回避できますが、ヘッジコストがかかり、円安時のメリットも享受できません。長期投資では為替は平準化される傾向があるため、基本的には為替ヘッジなしが推奨されます。ただし、為替変動を避けたい場合は、為替ヘッジ型も選択肢です。

Q6. どのくらいのリターンが期待できますか?

A. MSCIコクサイ・インデックスの過去の平均リターンは年率7〜9%程度(配当込み、円換算)ですが、これは過去の実績であり将来を保証するものではありません。株式市場は年によって大きく変動し、損失が発生する年もあります。長期保有を前提に、リスクを理解した上で投資してください。

まとめ(箇条書き)

  • 低コスト:信託報酬0.09889%以内と業界最低水準で、長期保有に適している
  • 先進国分散:日本を除く先進国22カ国、約1,300銘柄に分散投資
  • 米国中心だが地域分散あり:米国約70%、欧州・太平洋地域約30%で米国一極集中を回避
  • 長年の実績:2013年設定、純資産総額1兆円超で安定性が高い
  • 税制優遇対応:つみたてNISA・iDeCoの両方で利用可能
  • 日本株式は含まれない:日本への投資も希望する場合は別途検討が必要
  • 為替リスクあり:為替ヘッジなしのため、円高局面では基準価額が下落
  • 新興国は対象外:新興国への投資も希望する場合は、全世界株式ファンドや新興国ファンドを検討

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。

記事内のデータやファンド情報は2025年1月時点のものであり、その後変更される場合があります。最新の情報は、運用会社や販売会社の公式サイトでご確認ください。

投資に関する最終的な判断は、ご自身の資産状況、リスク許容度、投資目的を十分に考慮した上で行ってください。必要に応じて、専門家(ファイナンシャルプランナーや税理士など)にご相談ください。

カマタ

カマタ

はじめまして、カマタです。
これまで学んできた投資の知識を少しでも誰かの役に立てられればと思い、このブログを始めました。
無理なく続けながら、分かりやすい情報を発信していきます。

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