eMAXIS Slim 国内債券インデックスの評価レビュー|メリット・デメリットと初心者向け解説

日本の都市景観と金融イメージ - 国内債券投資

この商品の結論

eMAXIS Slim 国内債券インデックスは、リスクを抑えたい投資初心者ポートフォリオの安定性を重視する人に向いています。株式と比べて値動きが小さく、日本円建てで為替リスクもないため、資産全体のバランスを整えたい方に適した選択肢です。ただし、リターンは控えめで、長期的なインフレに対応しきれない可能性もあるため、株式ファンドと組み合わせた分散投資が推奨されます。

商品の概要

eMAXIS Slim 国内債券インデックスは、三菱UFJアセットマネジメントが運用する投資信託で、日本国内の債券市場全体に分散投資することを目的としています。国債や地方債、社債などを幅広く組み入れ、NOMURA-BPI総合という債券指数に連動する運用を行います。

債券とは、国や企業が資金を借りる際に発行する証券のことで、株式よりも値動きが穏やかで、定期的に利息(クーポン)を受け取れる特徴があります。そのため、守りの資産として位置づけられることが多く、株式の値下がりリスクを和らげる役割を果たします。

仕組み

ベンチマーク

このファンドは、NOMURA-BPI総合という指数に連動するように運用されます。NOMURA-BPI総合とは、野村證券が算出する日本国内の債券市場全体の動きを表す代表的な指標です。国債を中心に、地方債や社債など幅広い債券で構成されています。

投資先

主な投資先は以下の通りです:

  • 日本国債:国が発行する債券で、最も安全性が高いとされる
  • 地方債:地方自治体が発行する債券
  • 社債:企業が発行する債券

これらに分散投資することで、日本国内の債券市場全体の動きを捉えます。

運用会社

三菱UFJアセットマネジメントが運用を担当しています。eMAXIS Slimシリーズは業界最低水準の運用コストを目指しており、長期投資に適した設計となっています。

経費率

信託報酬は年率0.132%(税込)と、国内債券ファンドの中でも最低水準のコストです。長期保有するほどこの低コストのメリットが効いてきます。

メリット

1. 低リスクで安定した運用

債券は株式に比べて値動きが小さいため、資産の大きな減少を避けたい人に適しています。株式市場が大きく下落した局面でも、債券は比較的安定した値動きを示す傾向があります。

2. 為替リスクがない

すべて日本円建ての債券に投資するため、為替変動の影響を受けません。海外資産に投資する場合、円高になると資産価値が目減りしますが、国内債券ではその心配がありません。

3. 業界最低水準の運用コスト

信託報酬0.132%は国内債券ファンドの中でもトップクラスの低コストです。長期投資では、わずかなコスト差が最終的なリターンに大きく影響するため、この低コストは大きなメリットです。

4. 分散効果が期待できる

株式と債券は異なる値動きをすることが多いため、両方を保有することでポートフォリオ全体のリスクを抑える効果があります。株価が下がったときに債券価格が上がることもあり、資産全体の変動を緩和できます。

5. つみたてNISA・新NISAに対応

つみたて投資枠で購入できるため、非課税のメリットを活用しながら長期的に資産形成ができます。

デメリット

1. リターンが控えめ

債券は安定性が高い反面、期待できるリターンは株式よりも低くなります。過去のデータでは、年率1〜2%程度のリターンにとどまることが多く、大きな資産増加は期待しにくい商品です。

2. インフレリスク

物価が上昇する局面では、債券の実質的な価値が目減りします。たとえば年率1%のリターンがあっても、物価上昇率が2%であれば、実質的には資産が減っていることになります。

3. 金利上昇時に価格が下落

債券価格は金利と逆の動きをします。日本銀行が金利を引き上げる政策をとった場合、既存の債券価格は下落します。金融政策の転換期には注意が必要です。

4. 単体では資産増加が難しい

国内債券だけに投資していても、大きな資産増加は見込めません。特に若年層で長期的な資産形成を目指す場合は、株式ファンドとの併用が必須と言えます。

5. 流動性リスク

市場環境によっては、一時的に債券の売買がしにくくなることがあります。ただし、このファンドは大手運用会社が運用しているため、通常時はこのリスクは限定的です。

他商品との比較

eMAXIS Slim 先進国債券インデックス

同じeMAXIS Slimシリーズの先進国債券ファンドです。日本を除く先進国の債券に投資するため、為替リスクがある点が大きな違いです。円安になれば利益が出ますが、円高になると損失が出る可能性があります。リターンは国内債券よりやや高めの傾向があります。

ニッセイ国内債券インデックスファンド

同じく国内債券に投資するインデックスファンドですが、信託報酬は0.132%とeMAXIS Slimと同水準です。運用実績やファンド規模を比較して選ぶと良いでしょう。

個人向け国債

国が直接発行する債券で、元本保証があり、最も安全性が高い選択肢です。ただし、最低購入額が1万円からで、途中解約時には直近の利息が減額されるなど、投資信託とは異なる特徴があります。より確実性を求めるなら個人向け国債も検討に値します。

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)

国内債券を含む8つの資産クラスに均等に投資するバランスファンドです。1本で分散投資が完結するため、初心者には扱いやすい選択肢です。ただし、自分でリスク配分を調整したい場合は、国内債券ファンドを単体で保有する方が柔軟性があります。

初心者向けの注意点

1. 債券だけでは資産は増えにくい

国内債券は安定性が高いですが、大きなリターンは期待できません。若いうちは株式の比率を高めにして、年齢を重ねるにつれて債券の比率を増やすのが一般的な戦略です。

2. 新NISAでの活用方法を考える

新NISAには成長投資枠とつみたて投資枠がありますが、国内債券ファンドはつみたて投資枠で購入できます。ただし、非課税のメリットを最大限活かすには、リターンが高めの株式ファンドを優先する方が効果的という意見もあります。

3. 金利動向をチェック

日本銀行の金融政策によって債券価格は影響を受けます。金利が上昇する局面では債券価格が下落するため、短期的には損失が出る可能性があることを理解しておきましょう。

4. インフレ率との比較

債券のリターンが物価上昇率を下回ると、実質的に資産が目減りします。日本の消費者物価指数(CPI)などを定期的に確認し、実質リターンを意識することが大切です。

5. 他の資産クラスと組み合わせる

国内債券は単体で保有するよりも、株式ファンドと組み合わせることで真価を発揮します。たとえば、株式70%・債券30%といった配分で、リスクとリターンのバランスを調整しましょう。

ポートフォリオ例

以下は、eMAXIS Slim 国内債券インデックスを活用したポートフォリオの一例です。(※あくまで用途例であり、買い推奨ではありません)

例1:バランス重視型(30代・積極運用)

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):70%
  • eMAXIS Slim 国内債券インデックス:30%

株式を中心に長期的な成長を狙いつつ、債券で安定性を確保する配分です。

例2:安定重視型(50代・リスク抑制)

  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):40%
  • eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX):20%
  • eMAXIS Slim 国内債券インデックス:40%

退職が近づいてきた世代向けに、債券の比率を高めてリスクを抑えた配分です。

例3:超安定型(60代以降・資産保全)

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):30%
  • eMAXIS Slim 国内債券インデックス:50%
  • 個人向け国債または預金:20%

資産を守ることを最優先にした配分で、株式は最小限に抑えています。

まとめ

  • 低リスクで安定した運用を求める人に適した国内債券ファンド
  • 為替リスクがなく、日本円建てで安心して保有できる
  • 信託報酬0.132%と業界最低水準のコストで長期投資に有利
  • 株式との分散効果が期待でき、ポートフォリオ全体のリスクを抑える
  • リターンは控えめで、インフレリスクには注意が必要
  • 金利上昇局面では債券価格が下落する可能性がある
  • 単体での資産増加は難しいため、株式ファンドとの併用が推奨される
  • つみたてNISA・新NISAに対応し、非課税メリットを活用できる
  • 年齢やリスク許容度に応じて、株式と債券の配分比率を調整することが重要

eMAXIS Slim 国内債券インデックスは、ポートフォリオの安定性を高める「守りの資産」として有効です。ただし、長期的な資産形成を目指すなら、株式ファンドを中心に据えた上で、補完的に活用するのが賢明な選択と言えるでしょう。

カマタ

カマタ

はじめまして、カマタです。
これまで学んできた投資の知識を少しでも誰かの役に立てられればと思い、このブログを始めました。
無理なく続けながら、分かりやすい情報を発信していきます。

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