eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の評価レビュー|メリット・デメリットと初心者向け解説

バランス型投資信託の分散投資を表すイメージ

この商品の結論

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は、株式・債券・REITの8つの資産クラスに均等分散投資する投資信託です。リスクを抑えながら世界中の資産に投資したい初心者値動きの大きさに不安を感じる方一本で分散投資を完結させたい方に向いています。株式100%のファンドと比べて値動きが穏やかな一方、リターンもマイルドになる傾向があるため、積極的な資産成長よりも安定重視の運用を求める方に適しています。

商品の概要

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は、三菱UFJアセットマネジメントが運用するバランス型投資信託です。国内外の株式・債券・不動産投資信託(REIT)という8つの異なる資産に、それぞれ12.5%ずつ均等に投資することで、リスク分散を図っています。

投資対象となる8資産は以下の通りです:

  • 国内株式
  • 先進国株式
  • 新興国株式
  • 国内債券
  • 先進国債券
  • 新興国債券
  • 国内REIT
  • 先進国REIT

一般的な株式100%のインデックスファンドとは異なり、債券やREITを組み入れることで値動きの安定性を重視した設計になっています。

仕組み

この投資信託は、各資産クラスの代表的な指数(ベンチマーク)に連動するインデックスファンドを組み合わせた「ファンド・オブ・ファンズ」形式で運用されています。具体的には以下のベンチマークを使用:

  • 国内株式:TOPIX(東証株価指数)
  • 先進国株式:MSCI コクサイ・インデックス
  • 新興国株式:MSCI エマージング・マーケット・インデックス
  • 国内債券:NOMURA-BPI総合
  • 先進国債券:FTSE世界国債インデックス(除く日本)
  • 新興国債券:JPモルガンGBI-EMグローバル・ダイバーシファイド
  • 国内REIT:東証REIT指数
  • 先進国REIT:S&P先進国REIT指数(除く日本)

各資産への配分比率は年1回リバランスされ、常に均等配分(各12.5%)が維持される仕組みです。経費率は年0.154%程度(税込)と、バランス型ファンドとしては低コストです。

メリット

1. 一本で幅広い分散投資が完結

8つの異なる資産に自動的に分散投資できるため、初心者でも複雑なポートフォリオ構築が不要です。複数のファンドを自分で組み合わせる手間が省けます。

2. 株式100%より値動きが穏やか

債券が組み入れられているため、株式市場が下落した際も資産全体の下落幅が抑えられやすい特徴があります。特に国内債券は安定性が高く、株式の値動きを緩和します。

3. 低コストで運用できる

eMAXIS Slimシリーズの特徴である業界最低水準の信託報酬(0.154%程度)が適用されており、長期保有でもコスト負担が軽いです。

4. 自動リバランス機能

年1回、運用会社が自動的に各資産の比率を調整してくれるため、自分でリバランスする手間がかかりません。常に均等配分が保たれます。

5. つみたてNISA対応

つみたてNISA(現:新NISA成長投資枠の一部)対象商品のため、税制優遇を受けながら積立投資が可能です。

デメリット

1. リターンが株式100%ファンドより低い傾向

債券やREITの比率が高いため、株式市場が好調な時期でもリターンは株式100%ファンドに劣ることが多いです。長期的な資産成長を最優先する場合は物足りない可能性があります。

2. 新興国資産のリスク

新興国株式・債券を含むため、カントリーリスク(特定国の政治・経済不安)や為替リスクが存在します。特に新興国債券は価格変動が大きいことがあります。

3. 均等配分が必ずしも最適とは限らない

すべての資産を12.5%ずつ保有する設計は分かりやすい反面、経済環境や個人の目標に応じた柔軟な配分調整ができません。例えば「株式を少し多めにしたい」といったカスタマイズは不可能です。

4. REITの比率が高め

国内外のREITが合計25%を占めるため、不動産市場の影響を受けやすい構造です。REITは配当利回りが高い一方、金利上昇局面では価格が下落しやすい特性があります。

5. ファンド・オブ・ファンズ形式のコスト

複数のインデックスファンドを組み合わせる形式のため、内部的に二重のコストが発生している可能性があります(ただし、eMAXIS Slimシリーズは全体的に低コスト設計)。

他商品との比較

商品名 資産配分 経費率 特徴
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) 株式50% / 債券37.5% / REIT25% 0.154% 8資産に均等分散、安定重視
楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型) 株式70% / 債券30% 0.207% 株式比率が高く、成長性重視
ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型) 株式50% / 債券50% 0.154% 4資産のみでシンプル、REITなし
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) 株式100% 0.05775% 株式のみ、リターン重視

比較ポイント:

  • より安定性を求めるなら「ニッセイ4資産均等型」(REIT除外で値動き緩やか)
  • 成長性も欲しいなら「楽天バランス株式重視型」(株式70%)
  • 長期的なリターン最優先なら「eMAXIS Slimオール・カントリー」(株式100%)

初心者向けの注意点

1. 「バランス型=リスクゼロ」ではない

分散投資でリスクは抑えられますが、元本割れの可能性はあります。特に短期間(1〜3年)では含み損が出ることもあります。

2. 投資期間は最低5年以上を想定

値動きが穏やかとはいえ、短期では損失が出る可能性があるため、5〜10年以上の長期投資を前提に保有することが推奨されます。

3. 自分のリスク許容度を確認

株式100%のファンドで「値下がりが怖い」と感じる方には適していますが、逆に「もっとリターンが欲しい」と感じる場合は株式比率の高いファンドも検討しましょう。

4. 為替リスクを理解する

外国資産が含まれるため、円高になると資産価値が目減りします。ただし長期保有では為替変動の影響は平準化される傾向があります。

5. 定期的な見直しは不要

自動リバランス機能があるため、基本的に放置でOKです。ただし年1回程度、資産状況を確認する習慣はつけましょう。

ポートフォリオ例

以下は、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)を活用したポートフォリオの用途例です(※購入推奨ではありません)。

パターン1:バランス型100%(超シンプル運用)

  • eMAXIS Slimバランス(8資産均等型):100%
  • 向いている人:投資初心者、複雑な管理が苦手な方
  • メリット:一本で完結、リバランス不要

パターン2:コア・サテライト戦略(安定+成長)

  • eMAXIS Slimバランス(8資産均等型):70%(コア)
  • eMAXIS Slim米国株式(S&P500):30%(サテライト)
  • 向いている人:安定性を保ちつつ、成長性も少し取りたい方
  • メリット:米国株でリターン向上を狙いつつ、全体の安定性は維持

パターン3:年齢別配分(40代・50代向け)

  • eMAXIS Slimバランス(8資産均等型):60%
  • eMAXIS Slim先進国債券:20%
  • 現金・預金:20%
  • 向いている人:リタイアが近い世代、守りの運用重視
  • メリット:さらに債券比率を高めて安定性アップ

まとめ

  • 8つの資産に均等分散投資するバランス型ファンド
  • リスクを抑えた運用を求める初心者に最適
  • 経費率0.154%と低コストで長期保有しやすい
  • 株式100%ファンドより値動きが穏やかだが、リターンもマイルド
  • 自動リバランス機能で手間なく運用継続できる
  • 新興国資産やREITを含むため、一定のリスクは存在
  • 均等配分のため柔軟なカスタマイズは不可
  • 「安定性重視」「一本で完結したい」方に向いている
  • 積極的な資産成長を求めるなら株式100%ファンドも検討を
  • 最低5〜10年以上の長期投資を前提に保有することを推奨
カマタ

カマタ

はじめまして、カマタです。
これまで学んできた投資の知識を少しでも誰かの役に立てられればと思い、このブログを始めました。
無理なく続けながら、分かりやすい情報を発信していきます。

よく読まれている記事

1
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の評価レビュー|メリット・デメリットと初心者向け解説

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の評価レビュー|メリット・デメリットと初心者向け解説

詳細を見る
2
投資を始めようと思った日の話 ー 定年後の不安が背中を押してくれた

投資を始めようと思った日の話 ー 定年後の不安が背中を押してくれた

詳細を見る
3
投資信託とは?初心者が知っておきたい基本と始め方

投資信託とは?初心者が知っておきたい基本と始め方

詳細を見る