この商品の結論:どんな人に向いている?
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、1本で世界中の株式に分散投資したい初心者に最適な投資信託です。日本を含む先進国と新興国、約50カ国・3,000銘柄以上に投資できるため、地域を選ぶ手間が省けます。長期的な資産形成を目指す方、つみたてNISAや新NISAで「何を買えば良いか分からない」という方にとって、シンプルかつ低コストで世界経済の成長を取り込める選択肢です。
商品の概要
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)に連動する投資成果を目指すインデックスファンドです。通称「オルカン」とも呼ばれ、投資信託の中でも特に人気があります。
この投資信託は、日本を含む先進国約23カ国と新興国約24カ国の大型・中型株を投資対象としており、世界の株式市場の時価総額の約85%をカバーしています。個別に国や地域を選ぶ必要がなく、この1本で世界分散が完結するのが最大の特徴です。
仕組み:何に投資しているのか
この投資信託は、MSCI社が算出するACWIインデックスという指数に連動します。ACWIは、以下のような構成になっています(2024年時点の目安):
- 米国:約60%
- 日本:約5〜6%
- 英国、カナダ、フランスなど先進国:約25%
- 中国、インド、台湾など新興国:約10%
投資先企業には、Apple、Microsoft、Amazon、Teslaといった米国の大型IT企業から、トヨタ自動車(日本)、TSMC(台湾)、サムスン電子(韓国)など、グローバルに事業を展開する企業が含まれます。
運用方法はパッシブ運用(インデックス運用)で、指数に組み入れられている銘柄を機械的に保有します。ファンドマネージャーの裁量が入らないため、コストを抑えられる仕組みです。
メリット
1. 圧倒的な分散効果
約50カ国、3,000銘柄以上に投資できるため、特定の国や企業の業績悪化リスクを抑えられます。米国だけに偏らず、世界全体の成長を取り込めるのが強みです。
2. 超低コスト
信託報酬(経費率)は0.05775%以内と業界最低水準です。eMAXIS Slimシリーズは「業界最低水準の運用コストを目指し続ける」方針を掲げており、コスト引き下げの実績もあります。長期投資では、わずかなコスト差が大きなリターンの差につながるため、この低コストは大きなメリットです。
3. つみたてNISA・新NISA対応
金融庁の基準を満たしており、つみたてNISAや新NISAの成長投資枠で購入可能です。非課税メリットを最大限活用できます。
4. 少額から投資可能
多くのネット証券では100円から積立投資ができるため、初心者でも気軽に始められます。
5. 自動リバランス
各国・地域の投資比率は、時価総額に応じて自動的に調整されます。投資家自身が売買する手間がなく、常に世界の経済成長に沿った配分が維持されます。
デメリット
1. 米国への偏りが大きい
「全世界」とはいえ、実質的には約60%が米国株です。米国経済が低迷すれば、ファンド全体のパフォーマンスも大きく影響を受けます。
2. 新興国の組入比率が低い
新興国は約10%程度しか組み入れられていません。インドや東南アジアなど高成長が期待される地域への投資比率を増やしたい場合、別途ファンドを組み合わせる必要があります。
3. 短期的な値動きが大きい
株式100%で構成されているため、市場が急落すると基準価額も大きく下がります。リーマンショックやコロナショックのような局面では、一時的に30〜40%下落する可能性もあります。
4. 為替リスクがある
外国株式に投資するため、円高になると基準価額が下がる可能性があります(ただし、長期では為替は平準化されやすい)。
5. 配当金は自動再投資
分配金は原則として出ず、ファンド内で自動再投資されます。定期的なキャッシュフローが欲しい方には向きません。
他商品との比較
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 共通点:同じeMAXIS Slimシリーズで低コスト、つみたてNISA対応
- 違い:S&P500は米国の大型株500銘柄のみ。米国に集中したい人向け
- 使い分け:米国一強を信じるならS&P500、より分散を重視するならオール・カントリー
楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT)
- 共通点:全世界株式に投資、低コスト
- 違い:楽天VTは米国ETF「VT」を通じて投資、信託報酬は約0.132%とやや高め
- 使い分け:コスト重視ならeMAXIS Slim、楽天ポイント活用なら楽天VT
SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド(SBI・V・オールカントリー)
- 共通点:全世界株式、低コスト(信託報酬0.1338%程度)
- 違い:バンガード社のETF「VT」を通じて投資
- 使い分け:ほぼ同等だが、eMAXIS Slimの方がコストで優位
初心者向けの注意点
長期投資が大前提
全世界株式は短期的には大きく値動きします。最低でも10年以上の長期保有を前提に投資しましょう。途中で暴落しても慌てて売らないことが重要です。
一括投資よりも積立がおすすめ
初心者は、毎月一定額をコツコツ積み立てるドルコスト平均法が安心です。高値掴みのリスクを分散できます。
「全世界」でも米国中心であることを理解する
名前から「均等分散」をイメージしがちですが、実際は時価総額加重なので米国が6割を占めます。この点を理解した上で投資しましょう。
暴落時のメンタルケアが必要
市場が急落すると、資産が大きく減って不安になります。しかし、過去のデータでは長期保有すれば回復・成長しているため、冷静さを保つことが大切です。
ポートフォリオ例(用途例として)
以下は、あくまで用途例であり、買い推奨ではありません。ご自身の年齢・リスク許容度に応じて調整してください。
パターン1:シンプル型(初心者向け)
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):100%
- これ1本で完結。手間をかけたくない人に最適
パターン2:米国重視型
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):70%
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):30%
- 米国をさらに重視しつつ、全世界でリスク分散
パターン3:債券ミックス型(リスク抑制)
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):70%
- 国内債券インデックスファンド:30%
- 値動きを抑えたい方向け。退職が近い世代など
まとめ
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、1本で世界中の株式に分散投資できる初心者向けファンド
- 超低コスト(信託報酬0.05775%以内)で、長期投資に最適
- 約50カ国・3,000銘柄以上に投資し、圧倒的な分散効果がある
- 実質的には米国が約60%を占めるため、米国経済の影響を強く受ける
- 新興国の比率は約10%と低めなので、高成長地域への投資は限定的
- 短期的な値動きは大きいため、10年以上の長期保有が前提
- つみたてNISA・新NISA対応で、税制優遇を活用できる
- 「何を買えば良いか分からない」初心者にとって、シンプルかつ合理的な選択肢