eMAXIS NASDAQ100インデックスの評価レビュー|メリット・デメリットと初心者向け解説

NASDAQ100インデックスファンドのイメージ - テクノロジー株式市場

データ参照日:2025年11月

冒頭サマリ(結論)

eMAXIS NASDAQ100インデックスは、米国の代表的なハイテク株式指数であるNASDAQ100に連動する投資信託です。Apple、Microsoft、Amazon、Google(Alphabet)、Teslaといった世界を代表するテクノロジー企業に集中投資できる点が最大の特徴です。

こんな人に向いています:

  • 米国のテクノロジー・成長企業の成長性を信じている人
  • S&P500よりもハイリスク・ハイリターンを狙いたい人
  • 長期的な資産形成を目指し、短期的な値動きに耐えられる人
  • 既に分散投資のベースがあり、サテライト投資として活用したい人

初心者が最初に知るべき重要ポイント:

  • NASDAQ100はS&P500よりもテクノロジーセクターへの集中度が高く、値動きが大きい
  • 金融セクターを含まないため、セクター分散は限定的
  • 過去のリターンは高いが、将来のリターンを保証するものではない
  • 信託報酬は比較的低コストだが、eMAXIS Slimシリーズよりは高め
  • 単独での投資よりも、ポートフォリオの一部として活用するのが賢明

商品概要(目的・特徴)

基本情報

項目 内容
商品名 eMAXIS NASDAQ100インデックス
運用会社 三菱UFJアセットマネジメント
設定日 2021年1月29日
ベンチマーク NASDAQ100指数(配当込み、円換算ベース)
投資対象 米国NASDAQ市場上場の時価総額上位100社(金融セクター除く)
信託報酬(税込) 年率0.44%程度
購入時手数料 無料(ノーロード)
信託財産留保額 なし
決算日 年1回(1月25日)
為替ヘッジ なし
NISA対応 成長投資枠

商品の目的

eMAXIS NASDAQ100インデックスは、NASDAQ100指数(配当込み、円換算ベース)の動きに連動する投資成果を目指すインデックスファンドです。米国のテクノロジーセクターを中心とした成長企業への分散投資を、低コストで実現することを目的としています。

三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS(イーマクシス)」シリーズの一つで、購入時手数料が無料(ノーロード)であり、新NISA(成長投資枠)にも対応しています。

仕組み(投資先・ベンチマーク・構成国・リスク構造)

NASDAQ100指数とは

NASDAQ100指数は、米国のNASDAQ市場に上場している企業の中から、金融セクターを除く時価総額上位100社で構成される株価指数です。テクノロジー、消費者サービス、ヘルスケア、一般消費財といった成長性の高いセクターが中心となっています。

投資先の内訳(セクター構成)

セクター 構成比率(目安)
情報技術(テクノロジー) 約50〜55%
通信サービス 約15〜20%
一般消費財・サービス 約15〜18%
ヘルスケア 約5〜7%
その他 約5〜8%

※構成比率は市場環境により変動します。2025年11月時点の目安です。

主要構成銘柄(上位10銘柄の例)

  • Apple(アップル) – iPhoneやMacを展開する世界最大のテクノロジー企業
  • Microsoft(マイクロソフト) – WindowsやOffice、Azure(クラウドサービス)を提供
  • Amazon(アマゾン) – 世界最大のEコマースおよびクラウドサービス企業
  • Alphabet(Google) – 検索エンジンやYouTube、クラウド事業を展開
  • Meta(旧Facebook) – FacebookやInstagramなどのSNSプラットフォームを運営
  • Tesla(テスラ) – 電気自動車(EV)と自動運転技術のリーディングカンパニー
  • NVIDIA(エヌビディア) – AI向けGPUで圧倒的なシェアを持つ半導体企業
  • Broadcom(ブロードコム) – 半導体およびインフラソフトウェア企業
  • Costco(コストコ) – 会員制大型倉庫型小売チェーン
  • Pepsi(ペプシコ) – 飲料・食品の世界的大手企業

上位10銘柄だけで指数全体の約50〜55%を占めており、特定の企業への集中度が高い点が特徴です。

構成国

基本的に米国企業100%で構成されています。ただし、これらの企業は世界中で事業を展開しているため、実質的には世界経済の成長を取り込むことができます。

リスク構造

eMAXIS NASDAQ100インデックスのリスク要因は以下の通りです:

  • 株価変動リスク – テクノロジー株は値動きが大きく、市場環境の変化に敏感
  • 為替リスク – 為替ヘッジなしのため、円高時には評価額が下落
  • セクター集中リスク – テクノロジーセクターに約50%以上が集中
  • 銘柄集中リスク – 上位10銘柄で全体の50%以上を占める
  • 信用リスク – 投資先企業の経営悪化や倒産のリスク
  • 流動性リスク – 市場の混乱時に換金が困難になる可能性

リスクレベル:高(5段階評価で4〜5相当)

メリット

1. 世界トップクラスの成長企業に集中投資できる

Apple、Microsoft、Amazon、Googleなど、世界経済を牽引するテクノロジー企業に集中的に投資できます。これらの企業は高い収益性と技術革新力を持ち、長期的な成長が期待されています。

なぜ重要なのか: 個別株投資では難しい、複数の優良企業への分散投資を一つの商品で実現できます。

2. S&P500を上回る過去のリターン実績

過去10年間(2015〜2024年)において、NASDAQ100指数はS&P500指数を大きく上回るリターンを記録してきました。特にテクノロジーセクターが市場を牽引した期間では、顕著なアウトパフォーマンスを示しています。

なぜ重要なのか: より高いリターンを狙いたい投資家にとって、魅力的な選択肢となります。ただし、過去のパフォーマンスは将来を保証するものではありません。

3. 購入時手数料無料(ノーロード)で取引コストが低い

購入時手数料がかからないため、少額からでも効率的に投資を始められます。また、信託財産留保額もないため、解約時のコストも抑えられます。

なぜ重要なのか: コストは確実なリターンの減少要因です。取引コストが低いことで、長期的な資産形成に有利です。

4. 新NISA(成長投資枠)に対応

2024年から始まった新NISAの成長投資枠で購入でき、運用益が非課税となります。年間240万円まで投資でき、非課税保有限度額は1,200万円(成長投資枠のみの場合)です。

なぜ重要なのか: 通常20.315%かかる税金が非課税になるため、複利効果を最大化できます。

5. 三菱UFJアセットマネジメントの信頼性

運用会社は国内最大級の資産運用会社であり、運用実績と信頼性が高いです。eMAXISシリーズは多くの投資家に支持されており、純資産総額も安定的に増加しています。

なぜ重要なのか: 運用会社の信頼性は、長期投資において安心材料となります。

デメリット

1. 信託報酬がeMAXIS Slimシリーズより高い

年率0.44%程度の信託報酬は、同じ三菱UFJアセットマネジメントのeMAXIS Slimシリーズ(例:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は0.09372%以内)と比較すると高めです。

リスク: 長期保有すると、コストの差が複利で拡大し、リターンに大きな影響を与える可能性があります。例えば、1,000万円を20年間運用した場合、信託報酬0.44%と0.10%の差は約70万円以上になります。

2. セクター集中リスクが高い

テクノロジーセクターに約50%以上が集中しているため、テクノロジー株が軟調な局面では大きく下落するリスクがあります。2022年の金利上昇局面では、NASDAQ100は年間で約30%以上下落しました。

リスク: 分散投資の観点からは不十分であり、特定セクターへの依存度が高いです。

3. 値動きが大きく初心者には難しい

NASDAQ100は成長株中心のため、市場の期待や金利動向に敏感に反応します。年間の変動幅(ボラティリティ)はS&P500よりも大きく、短期的には30〜40%以上の下落も珍しくありません。

リスク: 投資初心者が大きな含み損に耐えられず、底値で売却してしまうリスクがあります。

4. 為替リスクがある

為替ヘッジを行っていないため、円高になると基準価額が下落します。例えば、ドル建てで10%上昇しても、円が10%上昇(円高・ドル安)すれば、円建てのリターンはゼロになります。

リスク: 株価と為替の両方のリスクを負うため、トータルの変動幅が大きくなります。

5. 金融セクターを含まない構造的な偏り

NASDAQ100は金融セクターを除外しているため、銀行や保険会社といった安定的な配当を出す金融株に投資できません。そのため、景気後退期における下支え効果が限定的です。

リスク: 景気サイクル全体をカバーできず、特定の局面で脆弱性を示す可能性があります。

他商品との比較

似ている投資信託との比較表を以下に示します。

商品名 ベンチマーク 信託報酬(年率) 構成銘柄数 テクノロジー比率 特徴
eMAXIS NASDAQ100インデックス NASDAQ100 0.44% 約100 約50〜55% 成長株集中、金融除外
ニッセイ NASDAQ100インデックスファンド NASDAQ100 0.2035% 約100 約50〜55% 同じ指数だが信託報酬が低い
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) S&P500 0.09372%以内 約500 約25〜30% より分散、超低コスト
楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI) CRSP USトータル・マーケット 0.162% 約4,000 約25〜30% 米国市場全体をカバー
iFreeNEXT FANG+インデックス NYSE FANG+指数 0.7755% 10 約80%以上 超集中型、超ハイリスク

比較ポイント

  • ニッセイ NASDAQ100 vs eMAXIS NASDAQ100: 同じ指数に連動しますが、ニッセイの方が信託報酬が約半分です。長期保有ならニッセイの方が有利です。
  • NASDAQ100 vs S&P500: NASDAQ100の方がハイリスク・ハイリターン。S&P500は分散が効いており、安定性が高いです。
  • NASDAQ100 vs FANG+: FANG+はさらに集中度が高く、超ハイリスク。NASDAQ100は比較的バランスが取れています。

初心者向けの注意点

誤解されやすいポイント

誤解1:「過去のリターンが高いから、これだけ買えば安心」

正しい理解: 過去のリターンは将来を保証しません。NASDAQ100は2000年のITバブル崩壊時には約80%下落し、回復に10年以上かかりました。一つの商品に集中投資するのではなく、ポートフォリオの一部として活用しましょう。

誤解2:「テクノロジー株は永遠に成長する」

正しい理解: テクノロジーセクターは成長性が高い反面、技術革新や競争環境の変化により、特定企業の優位性が失われるリスクがあります。分散投資を心がけましょう。

誤解3:「値動きが大きいのは短期的だけ」

正しい理解: NASDAQ100は長期的にも値動きが大きい傾向があります。2000〜2010年の10年間では、ほぼリターンがありませんでした(Lost Decade)。10年以上の超長期投資が前提です。

誤解4:「eMAXIS SlimとeMAXISは同じシリーズ」

正しい理解: eMAXIS Slimシリーズは超低コストを追求したシリーズで、通常のeMAXISシリーズとは別物です。NASDAQ100にはeMAXIS Slimバージョンは存在しません(2025年11月時点)。低コストを重視するなら、ニッセイ NASDAQ100インデックスファンドが選択肢となります。

投資前にチェックすべきこと

  • 自分のリスク許容度を確認する(含み損に耐えられるか)
  • 投資期間は10年以上を想定できるか
  • ポートフォリオ全体のバランスは適切か(NASDAQ100への配分は20〜30%程度が目安)
  • 他の低コスト商品(ニッセイ NASDAQ100など)と比較検討したか
  • 為替リスクを理解しているか

ポートフォリオ例

※以下は用途の例であり、推奨ではありません。

例1:堅実型ポートフォリオ(リスク許容度:中)

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):70%
  • eMAXIS NASDAQ100インデックス:20%
  • eMAXIS Slim 先進国債券インデックス:10%

考え方: 全世界株式で広く分散しつつ、NASDAQ100でハイテク株のリターンを狙います。債券を加えることで安定性を高めています。

例2:成長重視型ポートフォリオ(リスク許容度:高)

  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):50%
  • eMAXIS NASDAQ100インデックス:30%
  • eMAXIS Slim 新興国株式インデックス:20%

考え方: 米国株式を中心に、さらに成長性の高いNASDAQ100と新興国株式を組み合わせた積極型ポートフォリオです。ボラティリティが高いため、長期視点が必須です。

例3:サテライト活用型ポートフォリオ(リスク許容度:中〜高)

  • eMAXIS Slim バランス(8資産均等型):60%(コア)
  • eMAXIS NASDAQ100インデックス:25%(サテライト)
  • eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX):15%(サテライト)

考え方: バランス型ファンドで安定的な資産形成を行いつつ、NASDAQ100と国内株式でリターンの上乗せを狙います。

よくある質問(FAQ)

Q1. eMAXIS NASDAQ100とニッセイ NASDAQ100の違いは何ですか?

A1. どちらも同じNASDAQ100指数に連動しますが、信託報酬が異なります。eMAXIS NASDAQ100は年率0.44%程度、ニッセイ NASDAQ100は年率0.2035%です。長期保有する場合は、ニッセイの方がコスト面で有利です。運用会社も異なり、eMAXISは三菱UFJアセットマネジメント、ニッセイはニッセイアセットマネジメントです。

Q2. つみたて投資枠で購入できますか?

A2. 購入できません。 eMAXIS NASDAQ100インデックスは、新NISAの「成長投資枠」には対応していますが、「つみたて投資枠」の対象商品ではありません。つみたて投資枠は金融庁が定めた基準(低コスト、分散投資など)を満たす商品のみが対象であり、NASDAQ100のような特定セクター集中型の商品は対象外です。

Q3. NASDAQ100とS&P500、どちらを選ぶべきですか?

A3. リスク許容度と投資目的によります。 NASDAQ100は成長性が高い反面、値動きも大きくハイリスクです。投資初心者や安定性を重視する人は、まずS&P500から始めるのが無難です。ある程度投資経験があり、より高いリターンを狙いたい場合は、ポートフォリオの一部(20〜30%程度)をNASDAQ100に配分する方法があります。

Q4. いつ購入するのがベストですか?

A4. 市場のタイミングを完璧に予測することは不可能です。 長期投資の場合は、積立投資(ドルコスト平均法)で定期的に購入する方が、一括投資よりもリスクを分散できます。市場が下落した時も継続して積み立てることで、平均購入単価を下げることができます。

Q5. 為替リスクをヘッジした商品はありますか?

A5. eMAXIS NASDAQ100インデックスには為替ヘッジ版はありません(2025年11月時点)。為替リスクを避けたい場合は、為替ヘッジありの米国株式ファンドや、国内株式ファンドを検討してください。ただし、長期投資では為替変動は相殺される傾向があり、ヘッジコストがリターンを押し下げることもあるため、必ずしもヘッジが有利とは限りません。

Q6. 分配金は出ますか?

A6. eMAXIS NASDAQ100インデックスは原則として分配金を出さない方針です(再投資型)。決算日は年1回(1月25日)ですが、通常は分配金は出さず、ファンド内で再投資されます。これにより、複利効果を最大化し、税負担を先送りできるメリットがあります。

まとめ

  • eMAXIS NASDAQ100インデックスは、米国のテクノロジー・成長企業に集中投資できるインデックスファンド
  • Apple、Microsoft、Amazon、Googleなど世界トップクラスの企業に分散投資可能
  • 過去のリターンはS&P500を上回る実績があるが、値動きも大きくハイリスク
  • 信託報酬0.44%程度は、ニッセイ NASDAQ100(0.2035%)と比べると高め
  • テクノロジーセクターに約50%以上が集中しており、セクター分散は限定的
  • 為替ヘッジなしのため、為替リスクがある(円高時には下落)
  • 新NISAの成長投資枠には対応しているが、つみたて投資枠には非対応
  • 単独での投資よりも、ポートフォリオの20〜30%程度のサテライト投資として活用するのが賢明
  • 10年以上の長期投資が前提、短期的な値動きに耐えられる資金で投資すべき
  • 投資初心者は、まずS&P500や全世界株式で基礎を固めてから検討するのが無難

免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断は、ご自身の責任において行ってください。

記事に記載された情報は、2025年11月時点のものであり、今後変更される可能性があります。最新の情報は、運用会社の公式サイトや目論見書でご確認ください。

投資には元本割れのリスクがあります。過去のリターンは将来の運用成果を保証するものではありません。投資信託の購入前には、必ず目論見書をお読みいただき、内容を十分にご理解の上、ご自身の判断で投資を行ってください。

ご不明な点がある場合は、金融機関や専門家にご相談ください。

カマタ

カマタ

はじめまして、カマタです。
これまで学んできた投資の知識を少しでも誰かの役に立てられればと思い、このブログを始めました。
無理なく続けながら、分かりやすい情報を発信していきます。

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