データ参照日:2025年12月
冒頭サマリ(結論)
eMAXIS 新興国債券インデックスは、新興国の現地通貨建て公社債に分散投資できるインデックスファンドです。先進国よりも高い利回りを期待できる一方で、為替変動リスクや信用リスクが大きいという特徴があります。株式との相関が比較的低いため、ポートフォリオの分散効果を高めたい中級者以上の投資家に適していますが、初心者が最初に選ぶべき商品ではありません。新興国への投資経験があり、リスクを理解した上でポートフォリオの一部として組み込みたい方に向いています。
商品概要
eMAXIS 新興国債券インデックスは、三菱UFJアセットマネジメントが運用する投資信託で、新興国の現地通貨建て公社債を主な投資対象としています。
- 商品名:eMAXIS 新興国債券インデックス
- 運用会社:三菱UFJアセットマネジメント
- 投資対象:新興国の現地通貨建て公社債
- ベンチマーク:JPモルガンGBI-EMグローバル・ダイバーシファイド(円換算ベース)
- 信託報酬:年率0.66%程度(税込)
- 購入時手数料:無料(ノーロード)
- 決算頻度:年1回(1月25日)
- 設定日:2009年10月28日
- 為替ヘッジ:なし
このファンドは「eMAXIS」シリーズの一つで、低コストで運用されるインデックスファンドとして設計されています。ただし、「eMAXIS Slim」シリーズではないため、信託報酬はSlimシリーズよりもやや高めに設定されています。
仕組み(投資先・ベンチマーク・構成国・リスク構造)
ベンチマークの詳細
このファンドはJPモルガンGBI-EMグローバル・ダイバーシファイド(円換算ベース)をベンチマークとしています。このインデックスは、新興国が発行する現地通貨建ての国債を対象とし、流動性や市場規模を考慮して構成されています。
主な構成国(目安)
| 国名 | 組入比率の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 中国 | 約10% | 世界第2位の経済大国、人民元建て債券 |
| インドネシア | 約9% | 東南アジア最大の経済、ルピア建て債券 |
| ブラジル | 約9% | 南米最大の経済、レアル建て債券 |
| メキシコ | 約8% | 北米に位置、ペソ建て債券 |
| タイ | 約7% | 東南アジアの安定的な経済、バーツ建て債券 |
| マレーシア | 約7% | 東南アジアの中進国、リンギット建て債券 |
| 南アフリカ | 約7% | アフリカ最大級の経済、ランド建て債券 |
| その他 | 約43% | インド、ポーランド、トルコ、コロンビア等 |
※構成比率は市場環境により変動します。上記は2025年時点の目安です。
リスク構造
このファンドには主に以下のリスクが存在します:
- 為替変動リスク:新興国通貨は先進国通貨と比べて変動が大きく、円高になると基準価額が下落します
- 金利変動リスク:各国の金利上昇により債券価格が下落する可能性があります
- 信用リスク:新興国政府の財政状況悪化により債券価格が下落する可能性があります
- カントリーリスク:政治不安、政策変更、経済危機などにより大きく価格が変動する可能性があります
- 流動性リスク:市場の混乱時に売買が困難になる可能性があります
メリット
1. 先進国債券よりも高い利回りが期待できる
新興国債券は先進国債券と比較して高い利回り(クーポン)を提供する傾向があります。これは新興国特有のリスクに対するリスクプレミアムとして投資家に還元されるためです。長期的に保有することで、インカムゲイン(利子収入)を得られる可能性があります。
なぜ重要か:低金利環境下では、債券ポートフォリオの利回り向上に寄与します。
2. 株式との相関が比較的低く分散効果がある
債券は一般的に株式とは異なる値動きをする傾向があり、ポートフォリオ全体のリスクを低減する効果が期待できます。特に新興国債券は、先進国株式や先進国債券とは異なる経済サイクルの影響を受けるため、分散投資の選択肢として機能します。
なぜ重要か:株式市場の下落時に、債券がポートフォリオの安定性を支える可能性があります。
3. 広範囲の新興国に分散投資できる
JPモルガンGBI-EMグローバル・ダイバーシファイドは、20カ国以上の新興国債券に分散投資しています。単一国への集中投資と比較して、特定の国のリスクを軽減できる点が大きなメリットです。
なぜ重要か:個別の新興国債券に投資するより、リスク分散効果が高まります。
4. 購入時手数料無料(ノーロード)
購入時の手数料が無料のため、初期コストを抑えて投資をスタートできます。これにより、少額からでも効率的に投資を始めることが可能です。
なぜ重要か:手数料が投資パフォーマンスに与える影響を最小化できます。
5. 長期運用実績があり信頼性が高い
2009年の設定以来、15年以上の運用実績があります。三菱UFJアセットマネジメントという大手運用会社が運営しており、運用体制の安定性が期待できます。
なぜ重要か:長期運用実績は、ファンドの運用方針の一貫性と信頼性を示す指標となります。
デメリット
1. 為替変動リスクが非常に大きい
新興国通貨は先進国通貨と比べて変動幅が大きく、円高局面では大きく基準価額が下落する可能性があります。2020年のコロナショック時には新興国通貨が大きく売られ、一時的に基準価額が急落しました。為替ヘッジがないため、為替リスクを直接受ける点に注意が必要です。
誤解を避けるために:債券投資は「安全」というイメージがありますが、新興国債券は為替リスクにより大きく変動する可能性があります。
2. 信託報酬が他の債券ファンドよりやや高い
年率0.66%程度の信託報酬は、eMAXIS Slimシリーズの先進国債券インデックス(年率0.154%程度)と比較すると約4倍のコストとなります。長期保有すると、このコスト差が運用成果に影響を与える可能性があります。
誤解を避けるために:「eMAXIS」と「eMAXIS Slim」は別シリーズであり、コスト構造が異なります。
3. 価格変動が大きく初心者向きではない
新興国債券は先進国債券と比較して、価格変動(ボラティリティ)が大きい特徴があります。市場の混乱時には流動性が低下し、一時的に大きな損失を被る可能性があります。リスク許容度が低い初心者には不向きです。
誤解を避けるために:「債券ファンド」という名称から安全だと思われがちですが、新興国債券は株式に近いリスク特性を持ちます。
4. 分配金が再投資されるため複利効果は限定的
このファンドは年1回決算を行いますが、通常は分配金を出さず、ファンド内で再投資する方針です。これは長期的には複利効果を生む利点がありますが、定期的なインカムを求める投資家には不向きです。
誤解を避けるために:債券ファンドだからといって、必ずしも定期的な分配金が得られるわけではありません。
5. カントリーリスクと政治リスクが高い
新興国は政治的不安定性や政策変更リスクが高く、予期せぬ事態により債券価格が急落する可能性があります。例えば、通貨危機、デフォルト(債務不履行)、資本規制などのリスクがあります。
誤解を避けるために:新興国への投資は、先進国への投資とは異なる高いリスクを伴います。
他商品との比較
| 商品名 | 投資対象 | 信託報酬(年率・税込) | 為替ヘッジ | リスクレベル |
|---|---|---|---|---|
| eMAXIS 新興国債券インデックス | 新興国債券 | 0.66%程度 | なし | 高 |
| eMAXIS Slim 先進国債券インデックス | 先進国債券 | 0.154%程度 | なし | 中 |
| eMAXIS Slim 国内債券インデックス | 国内債券 | 0.132%以内 | – | 低 |
| eMAXIS 新興国債券インデックス(為替ヘッジあり) | 新興国債券 | 0.66%程度 | あり | 中~高 |
| ニッセイ・グローバルリートインデックスファンド | グローバルREIT | 0.297%以内 | なし | 高 |
比較のポイント:
- 新興国債券は先進国債券や国内債券と比べてリスクが高いが、期待リターンも高い
- 信託報酬は他の債券ファンドよりも高く、長期保有時のコストが気になる
- 為替ヘッジありのバージョンも存在するが、ヘッジコストがかかる点に注意
- REITも高利回り資産として比較対象になるが、値動きの性質が異なる
初心者向けの注意点
誤解されやすいポイント1:「債券=安全」ではない
一般的に債券は株式よりも安全とされますが、新興国債券は例外です。為替リスクや信用リスクが高く、株式に近い価格変動を示すことがあります。債券だから安全という先入観は捨てる必要があります。
誤解されやすいポイント2:短期的な値動きに一喜一憂しない
新興国債券は短期的に大きく変動することがあります。しかし、長期的には高い利回りを享受できる可能性があるため、短期的な値動きに惑わされず、長期保有を前提とした投資が推奨されます。
誤解されやすいポイント3:為替ヘッジの有無を理解する
このファンドは為替ヘッジを行っていないため、為替リスクをそのまま受けます。為替の影響を抑えたい場合は、為替ヘッジありのバージョンを検討する必要がありますが、ヘッジコストがかかる点に注意が必要です。
誤解されやすいポイント4:ポートフォリオの一部として組み入れる
新興国債券は高リスク資産であるため、ポートフォリオ全体の一部(例:5〜10%程度)として組み入れることが推奨されます。全資産を新興国債券に集中させることは避けるべきです。
誤解されやすいポイント5:「eMAXIS」と「eMAXIS Slim」の違い
このファンドは「eMAXIS」シリーズであり、「eMAXIS Slim」シリーズではありません。Slimシリーズは業界最低水準のコストを目指していますが、通常のeMAXISシリーズはやや高めの信託報酬が設定されています。
ポートフォリオ例
※以下はあくまで用途の例であり、推奨ではありません。投資は自己責任で行ってください。
例1:バランス型ポートフォリオ(リスク中程度)
- 先進国株式:50%(eMAXIS Slim 全世界株式など)
- 先進国債券:30%(eMAXIS Slim 先進国債券インデックスなど)
- 国内債券:10%(eMAXIS Slim 国内債券インデックスなど)
- 新興国債券:10%(eMAXIS 新興国債券インデックス)
先進国株式をコアとしつつ、債券で安定性を確保し、新興国債券で利回りを追加するバランス型の構成です。
例2:インカム重視ポートフォリオ(リスクやや高)
- 高配当株式:40%(楽天VYM、SBI・iシェアーズ米国高配当株式など)
- REIT:30%(ニッセイ・グローバルリートインデックスファンドなど)
- 新興国債券:20%(eMAXIS 新興国債券インデックス)
- 先進国債券:10%(eMAXIS Slim 先進国債券インデックスなど)
利回りを重視するポートフォリオで、高配当株式、REIT、新興国債券を組み合わせる構成です。ただし、全体的にリスクが高い点に注意が必要です。
例3:分散重視ポートフォリオ(リスク低〜中程度)
- 全世界株式:60%(eMAXIS Slim 全世界株式など)
- 先進国債券:25%(eMAXIS Slim 先進国債券インデックスなど)
- 国内債券:10%(eMAXIS Slim 国内債券インデックスなど)
- 新興国債券:5%(eMAXIS 新興国債券インデックス)
新興国債券を少量組み入れることで、分散効果を高めつつ、全体のリスクを抑える構成です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 新興国債券インデックスファンドは初心者に向いていますか?
A: 初心者には向いていません。新興国債券は為替リスクや信用リスクが高く、価格変動が大きいため、投資経験がある中級者以上に適しています。初心者の方は、まず先進国株式や全世界株式のインデックスファンドから始めることをおすすめします。
Q2. このファンドは定期的に分配金を受け取れますか?
A: 通常は分配金を出さず、ファンド内で再投資する方針です。決算は年1回(1月25日)行われますが、分配金を期待する投資には向いていません。定期的なインカムを求める場合は、高配当株式ファンドやREITファンドを検討してください。
Q3. 為替ヘッジありとなし、どちらを選ぶべきですか?
A: 為替リスクを許容できるなら為替ヘッジなしが推奨されます。ヘッジありはヘッジコストがかかるため、長期的なリターンが低下する可能性があります。ただし、円高リスクを抑えたい場合はヘッジありも選択肢となります。
Q4. どのくらいの期間保有すべきですか?
A: 新興国債券は短期的に大きく変動するため、最低5年以上、できれば10年以上の長期保有を前提とすることが推奨されます。短期的な売買には向いていません。
Q5. ポートフォリオの何%くらい組み入れるべきですか?
A: リスク資産であるため、ポートフォリオ全体の5〜10%程度が目安です。リスク許容度が高い投資家でも、20%を超える配分は避けるべきです。
Q6. eMAXIS Slim シリーズとの違いは何ですか?
A: eMAXIS Slimシリーズは業界最低水準のコストを目指していますが、通常のeMAXISシリーズは信託報酬がやや高めに設定されています。現時点では新興国債券のSlimバージョンは存在しません。
まとめ
- eMAXIS 新興国債券インデックスは、新興国の現地通貨建て公社債に分散投資できるファンド
- 先進国債券よりも高い利回りが期待できるが、為替リスクと信用リスクが高い
- 株式との相関が低く、ポートフォリオの分散効果を高める選択肢として有効
- 信託報酬は年率0.66%程度で、eMAXIS Slimシリーズと比較するとやや高め
- 価格変動が大きく、初心者には不向き。中級者以上の投資家向け
- 為替ヘッジなしのため、円高時に基準価額が下落するリスクがある
- 長期保有(5年以上)を前提とした投資が推奨される
- ポートフォリオ全体の5〜10%程度を目安に組み入れることが望ましい
免責事項
本記事は投資助言ではなく、情報提供を目的としたものです。投資判断は自己責任で行ってください。掲載されているデータや情報は記事更新時点(2025年12月)のものであり、最新の情報は運用会社の公式サイトや目論見書でご確認ください。投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。