この記事で分かること
- つみたてNISAの資産は新NISAとは「別枠」で、そのまま非課税で保有し続けられる
- 旧制度から新制度への移行で必要な手続きはほとんどない
- 2026年度の税制改正で変わるポイントと注意点
- 自分の状況に合った移行後の投資戦略の立て方
結論:つみたてNISAの資産は自動的に新NISAに移行されるわけではありませんが、そのまま非課税で保有でき、新NISAとは別枠で運用を続けられます。新規の積立投資は2024年から新NISAで行うことになり、手続きはほとんど不要ですが、投資戦略の見直しが必要です。旧制度の資産を売却する必要はなく、最長20年間の非課税期間をフルに活用できます。まずは証券会社からの案内を確認し、新NISA口座が自動開設されているか確認しましょう。
つみたてNISAと新NISAの基本的な違い
2024年1月から新しいNISA制度がスタートし、従来のつみたてNISAは新規購入ができなくなりました。ここでまず、両制度の違いを整理しておきましょう。
初心者向け用語解説
「非課税」とは? → 通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISAではその税金が免除される仕組みです。10万円の利益なら、通常は約2万円が税金として引かれますが、NISAなら10万円すべてが手元に残ります。
つみたてNISA(2023年まで)
- 年間投資上限額:40万円
- 非課税保有期間:最長20年
- 投資対象:金融庁が定めた投資信託・ETF
- 積立方式のみ
新NISA(2024年から)
- 年間投資上限額:つみたて投資枠120万円 + 成長投資枠240万円 = 最大360万円
- 非課税保有期間:無期限
- 生涯投資上限額:1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)
- つみたて投資枠と成長投資枠を併用可能
具体例で考えてみよう
つみたてNISAでは年間40万円(月約3.3万円)が上限でしたが、新NISAでは最大360万円(月30万円)まで投資できます。ただし、これは「上限」の話。月3万円の積立を続けている方は、そのペースで無理なく続けられます。
新NISAは投資枠が大幅に拡大し、非課税期間が無期限になったことで、より長期的な資産形成がしやすくなりました。

【2026年度】新NISAの制度変更ポイント
2025年12月の税制改正大綱で、2026年度からの新たな制度変更が正式決定されました。主な変更点を確認しておきましょう。
1. 未成年者への対象拡大(子どもNISA)
これまで18歳以上しか利用できなかったNISAが、18歳未満にも解禁されます。年間60万円まで、総額600万円までの「つみたて投資枠」が利用可能になります。
初心者向け用語解説
「子どもNISA」とは? → 親や祖父母が子どものために投資を始められる制度です。12歳以降は子の同意を得た場合にのみ、親権者が払出しできるというルールが設けられています。
2. 非課税枠の復活タイミング変更
現行制度では、投資商品を売却した場合、その分の非課税枠が復活するのは「翌年1月1日」でした。2026年度からは「当年中」に復活するよう変更されます。
具体例で考えてみよう
たとえば6月に100万円分を売却した場合、現行では翌年まで待たないと100万円分の非課税枠が使えませんでした。2026年度以降は、売却した年内に100万円分の非課税枠が復活し、再投資できるようになります。ただし、年間投資枠360万円の上限は変わりません。
3. 対象商品の拡充
つみたて投資枠で、債券中心の投資信託も認められる方向で検討されています。また、「読売株価指数」「JPXプライム150指数」などの新しい指数に連動する商品も追加されます。
※これらの制度変更は2025年12月に正式決定されました。施行は2026年中の予定です。

移行時のメリット・デメリット
メリット
1. 旧制度の資産はそのまま非課税で保有できる
つみたてNISAで保有している資産は、新NISAの1,800万円の枠とは別枠で、最長20年間非課税で保有し続けられます。2023年に投資した分は2042年まで非課税です。
具体例で考えてみよう
つみたてNISAで100万円、新NISAで500万円を保有している場合、合計600万円を非課税で運用できます。新NISAの1,800万円の上限には影響しません。

2. より柔軟な投資が可能に
新NISAでは年間360万円まで投資でき、つみたて投資と一括投資の両方を活用できるため、ライフステージに応じた投資戦略が立てやすくなります。
3. 売却後の枠の再利用が可能
新NISAでは投資商品を売却すると、翌年(2026年以降は当年中)にその分の枠が復活します。これにより、資産の組み替えがしやすくなりました。
デメリット・注意点
1. 旧NISAから新NISAへの自動移管(ロールオーバー)はできない
初心者向け用語解説
「ロールオーバー」とは? → 非課税期間が終了した資産を、新しい非課税枠に移し替える仕組みのこと。旧一般NISAでは利用できましたが、つみたてNISAから新NISAへの移管はできません。
つみたてNISAから新NISAへの資産移管はできません。旧制度の資産は旧制度の枠内で管理されます。
2. 投資枠が大きくなったことで戸惑う可能性
年間360万円という大きな枠を前に、「全部使わないといけないのでは」と焦る必要はありません。無理のない範囲で投資することが大切です。
3. 商品選択の幅が広がり、判断が難しくなる
成長投資枠では個別株なども購入できるため、初心者には選択肢が多すぎて迷う可能性があります。
よくある誤解と注意点
誤解1:「つみたてNISAの資産を売却して新NISAに移さないといけない」
これは誤りです。旧制度の資産は非課税期間が終わるまでそのまま保有できます。慌てて売却する必要はありません。
誤解2:「新NISA口座を新たに申し込む必要がある」
多くの証券会社では、既存のNISA口座保有者に対して自動的に新NISA口座を開設しています。ただし、証券会社からの案内を必ず確認しましょう。
誤解3:「年間360万円を全部使わないと損」
投資は余裕資金で行うのが基本です。枠があるからといって無理に使う必要はありません。自分のペースで投資することが大切です。
誤解4:「NISAでスイッチングができるようになった」
2026年度の改正は「非課税保有限度額の当年中復活」であり、iDeCoのような商品の直接入れ替え(スイッチング)とは異なります。商品を入れ替えるには、一度売却してから再購入する必要があり、年間投資枠360万円の範囲内で行う必要があります。
注意点:旧一般NISAの2022年投資分は2026年末で非課税期間終了
つみたてNISAではなく「旧一般NISA」で2022年に投資した商品は、5年間の非課税期間が2026年末で終了します。この場合、自動的に課税口座に払い出されることになります。非課税期間終了時の時価が新たな取得価格となるため、その後の値動きに応じて課税対象となる点に注意が必要です。
制度変更への注意
税制や投資制度は法改正により変更される可能性があるため、最新の情報を定期的に確認することをおすすめします。
具体的な移行シミュレーション
ケース1:30代会社員・Aさんの場合
- つみたてNISA:2020年から毎月3万円(年間36万円)積立中
- 現在の評価額:約180万円(投資元本144万円)
移行後の戦略:
- つみたてNISAの資産はそのまま保有(2039年まで非課税)
- 新NISAのつみたて投資枠で月5万円(年間60万円)を継続
- ボーナス時に成長投資枠で追加投資を検討
- 10年後には旧NISA資産180万円+新NISA資産約800万円(投資元本600万円)を想定
ポイント
つみたてNISAの資産は「そのまま置いておく」のが基本。新NISAで新たに積み立てを始めることで、旧制度と新制度の両方の非課税メリットを活かせます。
ケース2:40代自営業・Bさんの場合
- つみたてNISA:2022年から毎月3.3万円(年間40万円)積立中
- 現在の評価額:約90万円(投資元本80万円)
移行後の戦略:
- つみたてNISAの資産は保有継続
- 収入が不安定なため、新NISAは月3万円(年間36万円)のペースで無理なく継続
- 余裕がある年は追加投資を検討
- 成長投資枠は当面使わず、つみたて投資枠のみで運用
ポイント
投資枠が大きくなっても、自分のペースを守ることが大切。無理に枠を使い切ろうとせず、生活に支障のない範囲で続けましょう。
今日からできる移行アクションプラン
1. 証券会社からの案内を確認する
まずはメールやマイページで、新NISA口座の開設状況を確認しましょう。多くの場合、自動的に開設されています。
2. つみたてNISAの現在の資産状況を把握する
どの商品をいくら保有しているか、評価額はいくらか、非課税期間はいつまでかを確認します。証券口座のマイページで簡単に確認できます。
3. 新NISAでの投資方針を決める
年間いくら投資するか、どの商品に投資するかを決めます。つみたてNISAと同じ商品を継続するのも良い選択です。
4. 積立設定を見直す
2024年以降の積立設定が新NISA口座で行われるよう、証券会社の設定画面で確認・変更します。多くの証券会社では自動的に切り替わっていますが、念のため確認しましょう。
5. 家計とのバランスを再確認する
新NISAで投資枠が増えても、生活費や緊急資金を圧迫しないよう、無理のない金額設定を心がけてください。投資は余裕資金で行うのが鉄則です。
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よくある質問(FAQ)
Q1. つみたてNISAの資産は新NISAに自動で移行されますか?
A. いいえ、自動では移行されません。つみたてNISAの資産は旧制度の枠内でそのまま非課税で保有し続けられます。新NISAとは別枠なので、新NISAの1,800万円の上限には影響しません。
Q2. つみたてNISAの商品を売って新NISAで買い直すべきですか?
A. 特別な理由がなければ、そのまま保有するのがおすすめです。つみたてNISAは最長20年間非課税で運用できるので、そのメリットを活かしましょう。売却すると、含み益がある場合は課税口座での購入となり、税金面で不利になる可能性もあります。
Q3. 新NISA口座の開設手続きは必要ですか?
A. 多くの証券会社では、既存のNISA口座保有者に対して自動的に新NISA口座を開設しています。ただし、証券会社からの案内を確認し、設定に問題がないか確認することをおすすめします。
Q4. 2026年度の改正で何が変わりますか?
A. 主な変更点は3つです。(1)18歳未満への対象拡大(子どもNISA)、(2)非課税枠の復活タイミングが翌年から当年中に早まる、(3)対象商品の拡充です。特に枠の復活タイミング変更は、商品の入れ替えがしやすくなる点で注目されています。
Q5. 新NISAの年間360万円を使い切らないと損ですか?
A. いいえ、使い切る必要はありません。投資は余裕資金で行うのが基本です。自分のペースで無理なく続けることが、長期的な資産形成では最も大切です。
Q6. つみたて投資枠と成長投資枠、どちらを優先すべきですか?
A. 初心者の方は、まずつみたて投資枠から始めるのがおすすめです。金融庁が選定した長期投資に適した商品に限定されているため、選びやすく、コツコツ積み立てる習慣が身につきます。
まとめ
- つみたてNISAの資産は新NISAとは別枠で、最長20年間非課税保有できる
- 旧制度の資産を慌てて売却する必要はない
- 新NISA口座は多くの場合自動開設されているが、証券会社からの案内を必ず確認
- 新NISAでは年間最大360万円投資できるが、無理に枠を使い切る必要はない
- 2026年度の改正で、非課税枠の復活が当年中になり、商品入れ替えがしやすくなる
- 投資は自分のペースで、余裕資金の範囲内で行うことが大切
- つみたて投資枠と成長投資枠を併用できるが、初心者はまずつみたて投資枠から始めるのがおすすめ
- 制度は変更される可能性があるため、最新情報を定期的に確認しよう
新NISAへの移行は、基本的に自動的に行われるため、特別な手続きはほとんど必要ありません。大切なのは、制度の変更を理解し、自分に合った投資計画を立てることです。焦らず、着実に資産形成を進めていきましょう。
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。また、本記事の内容は2026年1月時点の情報に基づいており、制度は今後変更される可能性があります。最新の情報は金融庁の公式サイトや各証券会社でご確認ください。