結論:投資信託選びは「コスト」「分散」「実績」の3つが最重要
投資信託を選ぶときに最も大切なのは、信託報酬(コスト)が低いこと、十分に分散されていること、そして長期的な運用実績があることの3点です。初心者の方は、まずインデックスファンド(市場全体に投資する商品)から始めることをおすすめします。この記事では、投資信託の基本から具体的な選び方まで、わかりやすく解説します。
投資信託とは?仕組みの基本を理解しよう
投資信託とは、たくさんの投資家から集めたお金をひとまとめにして、プロの運用会社が株や債券などに投資する金融商品のことです。
例えば、あなたが1万円だけ投資信託を購入したとしても、その1万円は他の投資家のお金と合わせて運用されるため、数百〜数千の銘柄に分散投資されることになります。これにより、少額からでもリスクを抑えた投資が可能になります。
投資信託の主な種類
- インデックスファンド:日経平均やS&P500などの指数に連動する商品。コストが低く初心者向け。
- アクティブファンド:運用会社が独自に銘柄を選定し、指数を上回る成績を目指す商品。コストは高め。
- バランスファンド:株・債券・不動産など複数の資産をバランスよく組み合わせた商品。
投資信託のメリット・デメリット
メリット
- 少額から始められる:100円から購入できる商品も多く、初心者でも気軽に始められます。
- 分散投資ができる:1つの投資信託で数百〜数千の銘柄に投資でき、リスクを分散できます。
- プロに運用を任せられる:投資の知識がなくても、専門家が運用してくれます。
- 新NISAやiDeCoで非課税で運用できる:税制優遇制度を活用すれば、利益に税金がかかりません。
デメリット
- 元本保証がない:株式市場の下落などで、投資した金額より減る可能性があります。
- コストがかかる:信託報酬や購入時手数料など、運用にはコストが発生します。
- 短期で大きく儲けるのは難しい:長期的な資産形成に向いており、短期的な値動きで利益を狙うには不向きです。
初心者が注目すべき5つの選び方のポイント
① 信託報酬(コスト)が低いものを選ぶ
信託報酬とは、投資信託を保有している間ずっとかかる運用コストのことです。年率で表され、例えば信託報酬が0.5%の場合、100万円投資していれば年間5,000円のコストがかかります。
目安:インデックスファンドなら年率0.1%〜0.3%程度が標準的です。1%を超える商品は避けた方が無難です。
② 分散が効いているか確認する
投資信託の中身が、特定の国や業種に偏っていないかを確認しましょう。例えば、全世界の株式に投資するファンドや、米国の主要500社に投資するファンドなどは、十分に分散されています。
一方で、「AI関連株ファンド」「新興国専門ファンド」など、特定のテーマに絞った商品はリスクが高くなる傾向があります。
③ 運用実績と純資産総額をチェックする
運用実績は、過去3年〜5年の成績を見ましょう。ただし、過去の実績が将来を保証するわけではないので、参考程度に留めてください。
純資産総額は、その投資信託に集まっている資金の総額です。目安として100億円以上あれば安心です。純資産が少なすぎると、運用が安定しない、または償還(運用終了)のリスクがあります。
④ 購入時手数料がゼロ(ノーロード)を選ぶ
購入時手数料とは、投資信託を買うときに一度だけかかる手数料です。最近はノーロード(手数料ゼロ)の商品が主流ですので、わざわざ手数料がかかる商品を選ぶ必要はありません。
⑤ 自分の投資方針に合った商品を選ぶ
- リスクを抑えたい:バランスファンドや債券中心のファンド
- 長期でしっかり増やしたい:全世界株式や米国株式のインデックスファンド
- 配当を受け取りたい:高配当株ファンドや分配金ありの商品(ただし分配金は再投資した方が効率的)
よくある誤解と注意点
誤解①「値段が安い投資信託の方がお得」
投資信託の基準価額(1口あたりの値段)が安いからといって、お得というわけではありません。大切なのは今後どれだけ値上がりするかです。基準価額が1万円でも1,000円でも、今後の成長率が同じなら結果は同じです。
誤解②「人気ランキング上位の商品が良い」
販売ランキング上位の商品は、必ずしも優良とは限りません。販売会社が売りたい商品(手数料が高い商品)が上位に来ることもあります。ランキングだけでなく、コストや内容をしっかり確認しましょう。
注意点:制度は変更される可能性があります
投資信託に関連する税制や新NISA制度は、今後変更される可能性があります。最新の情報は金融庁や証券会社の公式サイトで確認してください。
具体例:10万円を投資信託で運用したシミュレーション
例として、月1万円を20年間、年利5%で運用した場合を計算してみます。
- 投資総額:1万円 × 12ヶ月 × 20年 = 240万円
- 運用後の評価額:約411万円(年利5%複利で計算)
- 利益:約171万円
新NISA制度を活用すれば、この171万円の利益に対して税金がかかりません。通常なら約34万円(20.315%)の税金が引かれるところ、まるまる手元に残ります。
一方、信託報酬が1%高いだけで、20年後の資産は約30万円も少なくなります。だからこそ、コストの低い商品を選ぶことが重要なのです。
今日からできるアクションプラン
- 証券口座を開設する:楽天証券、SBI証券、マネックス証券などのネット証券がおすすめです。新NISA口座も同時に開設できます。
- 目論見書を読んでみる:気になる投資信託の目論見書(説明書)を読んで、投資先やコストを確認しましょう。
- 少額から試しに買ってみる:まずは100円〜1,000円程度で購入し、値動きを体験してみましょう。
- 積立設定をする:毎月自動で買付される「積立投資」を設定すれば、手間なく長期投資ができます。
- 定期的に見直す:年に1〜2回、運用状況を確認し、必要に応じてリバランス(配分調整)を行いましょう。
まとめ
- 投資信託は少額から分散投資ができる初心者向けの金融商品
- 選び方のポイントは「低コスト」「分散」「実績」の3つ
- インデックスファンドは信託報酬が低く、長期投資に最適
- 新NISAを活用すれば利益が非課税になり、さらにお得
- 基準価額の高低やランキングだけで判断せず、中身をしっかり確認する
- まずは少額から始めて、積立投資で長期的に資産を育てる
投資信託選びは、最初は難しく感じるかもしれませんが、基本を押さえれば誰でも良い商品を見つけられます。焦らず、自分のペースで始めてみてください。