ちょっとした含み益に心が揺れた朝
あれは投資を始めて半年ほど経った頃のことです。朝、いつものようにスマートフォンで投資信託の残高を確認すると、購入時よりも10%ほどプラスになっていました。たった数万円の利益でしたが、私にとっては初めての「含み益」でした。
「今のうちに売っておけば、確実に利益が手に入る」
そんな考えが頭をよぎり、売却ボタンに指が伸びかけました。せっかく増えたお金が、また減ってしまったらどうしよう。そんな不安が胸の中で大きくなっていったのです。
なぜ売りたくなったのか ー 利益確定の誘惑
冷静に考えれば、私は長期投資を目指して積立を始めたはずでした。それなのに、少しの含み益が出ただけで、こんなにも心が揺れるとは思いませんでした。
振り返ってみると、こんな気持ちが働いていたのだと思います。
- 損をしたくない恐怖:せっかく増えたお金が減るのが怖い
- 確実性への執着:今なら確実に利益が取れるという安心感
- 短期的な成果への期待:すぐに結果が欲しいという焦り
投資の本では「長期で持ち続けることが大切」と書いてあるのに、実際にお金が動くと、頭で分かっていることと心で感じることは別物なのだと実感しました。
結局、売らずに持ち続けた理由
悩んだ末、私は売却をやめました。その理由は、ふと思い出した投資の先輩の言葉です。
「含み益は、まだ利益じゃない。でも含み損も、まだ損じゃない。長く持ち続けることで、時間が味方になってくれるんだよ」
確かに、今売ったところで得られるのは数万円です。でも私が本当に求めているのは、10年後、20年後の安心できる資産でした。短期的な利益に飛びついて、長期的な成長を逃してしまうのはもったいない。
そう考え直して、スマートフォンを閉じました。
長期投資で大切なのは「我慢」ではなく「信じること」
あれから数年が経ち、あの時の含み益はさらに大きくなりました。もちろん途中で下がった時期もありましたが、積立を続けることで、平均購入単価も安定してきました。
長期投資というと「我慢が必要」と思われがちですが、私が学んだのはそれだけではありません。大切なのは、自分が選んだ投資の方針を信じることです。
市場は上がったり下がったりを繰り返します。その都度、売りたくなったり買い増したくなったりするのは自然なことです。でも、その感情に流されず、「自分はなぜ投資をしているのか」「どんなゴールを目指しているのか」を思い出すことが大切だと感じています。
初心者の方へのアドバイス
もしあなたが含み益が出て、売りたくなったら、一度立ち止まってみてください。
- 投資を始めた目的を思い出す:短期の利益が目的でしたか?
- 10年後の自分を想像する:今売ることが、未来の自分にとって最善ですか?
- 感情と向き合う:なぜ売りたいのか、その理由を紙に書き出してみる
焦らなくて大丈夫です。投資は、時間を味方につけるゲームです。少しずつ、自分のペースで続けていきましょう。
まとめ
含み益が出た時の嬉しさと同時に、売りたくなる気持ちは誰にでもあるものです。でも、長期投資の本当の力は、そこから先にあります。
あの日、売らずに持ち続けた選択が、今の私の資産を支えてくれています。皆さんも、焦らず、自分を信じて、一歩ずつ歩んでいってくださいね。
一緒に、ゆっくりと成長していきましょう。