「また下がっている…」スマホを見る回数が増えた月曜日
あれは確か、投資を始めて半年ほど経った頃のことでした。朝起きてすぐ、通勤電車の中で、お昼休みに、帰宅してから。気づけば何度もスマートフォンを開いて、保有している投資信託の基準価額をチェックしていました。
きっかけは、保有している投資信託が主に投資している企業のニュースでした。「業績予想を下方修正」という見出しが目に入ってから、私の心は落ち着かなくなりました。翌日には基準価額が少し下がり、「やっぱり…」と不安が膨らみました。
それからの1週間、私はニュースアプリを何度も開いては関連する記事を探し、株価の動きを追い続けました。上がれば少し安心し、下がればまた不安になる。そんな日々が続きました。
変動に心を奪われて見えなくなっていたもの
金曜日の夜、疲れ果てて自分の投資記録を見返していたとき、はっと気づきました。私が投資を始めた目的は、短期的に利益を得ることではなかったはずだと。
投資を始めた時、私は「10年後、20年後のために」と考えていました。毎月コツコツと積み立てて、長い時間をかけて資産を育てていく。そう決めたはずでした。
でも、日々のニュースや株価の動きに心を奪われて、私はその初心を忘れかけていました。目の前の小さな変動に一喜一憂するあまり、長期的な視点で投資を続けるという本来の目的を見失っていたのです。
株価は需要と供給で決まる ー 短期的な変動の本質
冷静になって調べてみると、株価の変動には様々な要因があることがわかりました。企業の業績はもちろんですが、経済の状況、金利の動き、そして何より投資家の心理も大きく影響します。
特に短期的な動きは、投資家の感情や一時的なニュースに左右されることが多いのです。良いニュースが出れば買いが集まって価格が上がり、悪いニュースが出れば売りが増えて価格が下がる。それは企業の本質的な価値とは別の話です。
長期投資家にとって大切なのは、企業や経済が長い目で見て成長していくかという視点です。1週間や1ヶ月の値動きではなく、5年後、10年後にどうなっているかを考えることが重要なのです。
初心者の私たちができること
この経験から、私は自分なりのルールを作りました。それは、「基準価額を確認するのは月に1回だけ」というシンプルなものです。
毎日チェックしても、私にできることは何もありません。積立投資を続けることが私の役割で、日々の変動に対応する必要はないのです。むしろ、頻繁に見ることで不安や焦りが生まれ、冷静な判断ができなくなってしまいます。
また、ニュースを見るときも意識を変えました。個別の企業ニュースに一喜一憂するのではなく、世界経済全体の大きな流れを理解しようと努めています。短期的な変動よりも、長期的なトレンドを知ることの方が、長期投資家にとっては意味があるからです。
投資は、焦らず、淡々と、自分のペースで続けていくもの。そのことを改めて実感しました。
一緒に長い目で見ていきましょう
短期的な変動に心を揺さぶられるのは、投資家なら誰もが経験することだと思います。それは決して恥ずかしいことではありません。私も今でも時々、不安になることがあります。
でも、そんな時こそ初心に戻ることが大切です。なぜ投資を始めたのか。何を目指しているのか。その答えを思い出せば、目の前の小さな波に翻弄されずに済みます。
投資は長い旅です。一日一日の景色ではなく、その先に広がる景色を楽しみに、一緒にゆっくりと歩んでいきましょう。焦らなくて大丈夫です。時間が私たちの味方になってくれますから。