窓から差し込む午後の光を眺めながら、私はパソコンの前でため息をついていました。資産運用の画面に表示されているポートフォリオのバランスが、いつの間にか随分と偏ってしまっていたのです。
「まあ、今日でなくても大丈夫だろう」
そう自分に言い聞かせて、リバランスを先延ばしにしてしまった日のことを、今でも思い出します。
気づけばバランスが崩れていた
投資を始めたばかりの頃、私は「株式6割、債券4割」というバランスで資産配分を決めていました。リスクとリターンのちょうどいい塩梅だと、本で読んで学んだからです。
ところが、株式市場が好調だった時期が続き、気がつけば株式の割合が7割を超えていました。本来であれば、ここで一部を売却して債券に回す「リバランス」をすべきだったのです。
でも、当時の私は思いました。「今、株が上がっているのに売るのはもったいない」と。それに、手続きも面倒に感じていました。
結局、その後に株式市場が調整局面に入り、資産全体が大きく目減りしてしまったのです。もしあの時リバランスをしていれば、損失はもっと小さく済んだはずでした。
投資は「買って終わり」ではない
この経験を通して、私は大切なことを学びました。それは、投資は植物を育てるのと同じだということです。
植物は、水をやり、時には枯れた葉を取り除き、形を整えてあげることで健やかに育ちます。投資も同じで、定期的にポートフォリオを見直し、バランスを整えてあげることが必要なのです。
リバランスには、こんな意味があります:
- リスクの管理:偏りすぎた資産配分を元に戻すことで、想定以上のリスクを避けられます
- 利益の確定:上がった資産を一部売却することで、利益を確保できます
- 割安な資産への投資:下がった資産を買い増すことで、将来のリターンが期待できます
「高く売って安く買う」という投資の基本が、リバランスには自然に組み込まれているのです。
完璧でなくていい、続けることが大切
もしかすると、「リバランスって難しそう」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。でも、大丈夫です。私も最初はそうでした。
リバランスは、年に1回か2回、定期的に見直すだけで十分です。例えば、誕生日や年末など、自分が覚えやすい日を決めておくといいでしょう。
また、最近ではバランス型の投資信託など、自動でリバランスしてくれる商品もあります。自分で管理するのが大変だと感じたら、そういった商品を選ぶのも一つの方法です。
大切なのは、完璧を目指すことではなく、定期的に資産の状態を確認する習慣を持つことです。私も今では、カレンダーにリマインダーを設定して、忘れないようにしています。
まとめ
あの日、リバランスを先延ばしにした自分を、今となっては責める気持ちはありません。その失敗があったからこそ、投資は「育てるもの」だと気づくことができたからです。
株価が上がっている時も、下がっている時も、私たちにできることは、淡々と手入れを続けることです。焦らず、慌てず、自分のペースで。
みなさんも、年に一度でいいので、ご自身のポートフォリオを見直してみてください。きっと、その小さな習慣が、長い投資の旅を支えてくれるはずです。
一緒に、ゆっくりと資産を育てていきましょう。