ある晴れた午後のこと
先月のことです。いつものようにパソコンを開いて、投資口座の画面を眺めていました。資産は少しずつですが増えている。数字だけを見れば、順調と言えるでしょう。
でも、その日はなぜか心が晴れませんでした。
「自分は何のために投資をしているんだろう」
ふと、そんな疑問が頭に浮かんだのです。数字が増えることばかりに気を取られて、本当に大切なことを見失っているんじゃないか。そう感じた瞬間でした。
お金を増やすことが目的だったのか
投資を始めたころ、私には明確な目的がありました。定年後の生活を少しでも豊かにしたい。孫が生まれたら何かしてあげたい。そんな思いがあったはずです。
それなのに、いつの間にか「資産を増やすこと」そのものが目的になっていました。
毎日のように口座をチェックして、少しでも増えていれば安心し、減っていれば不安になる。リバランスのタイミングを考え、次はどの商品に投資しようかと悩む。それ自体は悪いことではありません。でも、何のためにやっているのか、その先に何があるのか、見えなくなっていたのです。
投資の本質は「手段」であること
その日の夜、少し冷静になって考えてみました。
投資というのは本来、人生の目標を実現するための「手段」であって、「目的」ではないんですよね。最近では「ゴールベースアプローチ」という言葉もよく耳にします。これは、将来の具体的な目標(ゴール)を先に決めて、そこから逆算して投資計画を立てるという考え方です。
例えば、「10年後に孫の入学祝いに100万円贈りたい」「老後は年に一度、妻と温泉旅行に行きたい」といった具体的なイメージです。
こうした目標があってこそ、日々の投資にも意味が生まれるのだと気づきました。お金はあくまで道具。その先にある「やりたいこと」「大切にしたいこと」があってこそ、投資は続けられるのではないでしょうか。
もう一度、自分のゴールを確認してみる
私はその日、ノートを取り出して書き出してみました。
- 妻と旅行に行く資金
- 孫の成長を見守りながら、必要な時に手助けできる余裕
- 自分の趣味を楽しむためのお金
- 何かあった時に慌てないための備え
こうして書き出してみると、不思議と心が落ち着きました。数字だけを追いかけるのではなく、「この目標のために、今日も少しずつ積み立てているんだ」と思えるようになったのです。
投資を始めたばかりの方には、ぜひ最初に「何のために投資をするのか」を考えてほしいと思います。そして、すでに投資をされている方も、時々立ち止まって、自分のゴールを確認してみてください。
目標が明確であれば、相場が荒れたときも慌てずに済みます。「このお金は○年後のために用意しているもの」と思えば、一時的な値動きに一喜一憂することも減るでしょう。
まとめ ー お金の先にあるものを見つめて
投資の目標を見失いかけたあの日、私は大切なことに気づきました。
投資とは、お金を増やすゲームではなく、自分や家族の未来を豊かにするための準備なのだと。数字の向こう側にある、温かい日常や笑顔を思い描くこと。それこそが、長く投資を続けていく上での支えになるのだと思います。
もしあなたも、何となく投資をしているように感じたら、一度立ち止まってみてください。お金の先に何があるのか、静かに考えてみる時間を持ってみてはいかがでしょうか。きっと、また新しい気持ちで投資と向き合えるはずです。
一緒に、ゆっくりと、自分らしい資産づくりを続けていきましょうね。