あの日、スマホの画面を前に固まってしまった
それは、会社からの通知メールを見た夜のことでした。
「来月から残業規制が厳しくなります」という内容。残業代が収入の一部を占めていた僕にとって、それは想定外の知らせでした。冷静に計算してみると、月に2万円ほど収入が減ることになります。
その夜、いつものように証券アプリを開きました。毎月コツコツと続けてきた積立投資。月3万円という設定は、始めた時には「これくらいなら大丈夫」と決めた金額でした。
でも、収入が減る今、このままでいいんだろうか。
画面に表示された「積立設定変更」のボタンを見つめながら、僕はなかなかタップできませんでした。
「投資を続ける」ことへの執着と罪悪感
「投資は続けることが大切」。これまで何度も聞いてきた言葉です。実際、積立投資を5年続けてきた僕は、その効果を実感していました。
でも、今の状況で無理して続けることが正しいのか、自信が持てませんでした。
もし金額を減らしたら、今まで築いてきたものが台無しになるんじゃないか。投資を「諦めた」ことになるんじゃないか。そんな思いが頭をよぎります。
一方で、生活費を削ってまで投資を続けるのは本末転倒だという気持ちもありました。妻にも相談しづらくて、一人でモヤモヤと悩み続けました。
そんな時、ふと思い出したのが、投資を始めた頃の気持ちでした。
投資の本質は「無理なく続けること」だった
投資を始めた時、僕は「生活を圧迫しない範囲で」と決めていました。それが長期投資の基本だと、本で読んだからです。
でも、いつの間にか「月3万円を守ること」が目的になっていました。
よく考えてみれば、投資の本質は金額を守ることではなく、無理なく続けることなんですよね。収入が変わったら、投資額も変えていい。むしろ、変えるべきなんです。
それに気づいた時、少し肩の力が抜けました。
翌日、証券会社のサイトを調べてみると、積立金額の変更はとても簡単でした。月3万円から2万円に変更するだけです。たった数回のクリックで、設定は完了しました。
「これでいいんだ」と、自分に言い聞かせました。
柔軟に変えることも、投資を続ける知恵
実は、積立投資において「金額を調整する」ことは、決して後ろ向きな選択ではありません。
収入の変化に合わせて投資額を見直すことは、投資を長く続けるための知恵です。無理をして続けて、途中でやめてしまうよりも、金額を減らしてでも続ける方が、長期的には大きな意味があります。
また、投資の世界では「ドル・コスト平均法」という考え方があります。一定額を定期的に積み立てることで、高値の時には少なく、安値の時には多く買えるという仕組みです。
金額が2万円になっても、この効果は変わりません。続けることそのものに価値があるんです。
そして、収入が戻ったり増えたりした時には、また金額を増やせばいい。投資は人生の一部であって、人生の状況に合わせて調整していくものなんだと、改めて実感しました。
あなたにも伝えたい、柔軟に考えることの大切さ
もし今、あなたも収入の変化や生活の変化で、投資を続けるかどうか迷っているなら、こう考えてみてください。
- 投資額を減らすことは「諦め」ではない ー 柔軟に調整することも立派な戦略です
- 無理して続けるより、細くても長く続ける方がいい ー 投資の効果は時間とともに現れます
- 生活が第一、投資は第二 ー 投資は生活を豊かにするための手段です
大切なのは、自分の状況を正直に見つめて、その時々で最善の判断をすることです。完璧である必要はありません。
僕自身、金額を減らしてから数ヶ月が経ちましたが、投資を続けられていることに安心感を感じています。そして何より、生活に無理がないことで、心に余裕が生まれました。
まとめ ー 投資は人生に寄り添うもの
あの夜、画面の前で固まっていた自分に、今ならこう言ってあげられます。
「大丈夫、金額を変えてもいいんだよ。投資は人生に寄り添うものだから」
投資を続けることは大切です。でも、それ以上に大切なのは、無理なく、自分らしく続けることです。収入が変わった時、生活が変わった時、柔軟に見直していい。それが長期投資の本当の姿なんだと思います。
一緒に、焦らず、自分のペースで続けていきましょうね。