2月のある休日の朝、僕はパソコンの前で少し緊張していました。初めての確定申告です。
投資を始めてから1年が経ち、配当金や譲渡益が少しずつ出るようになって、「確定申告が必要かもしれない」と気づいたのは年明けのことでした。ネットで調べると「特定口座（源泉徴収あり）なら不要」という情報もあれば、「損失があれば申告した方がいい」という話もあって、正直よくわからない。結局、証券会社のサポートに電話して確認したら、「申告した方が還付が受けられる可能性がありますよ」と言われました。
そこから始まった確定申告への挑戦。「面倒くさい」「難しそう」と思っていた手続きが、意外にも投資に対する自分の姿勢を見つめ直すきっかけになったんです。
書類を集めながら気づいた「自分の投資の軌跡」
まず必要だったのは、証券会社から届く「年間取引報告書」。これを見ながら、1年間の取引を振り返りました。
配当金の明細、売却した銘柄の損益、源泉徴収された税額……。数字がずらっと並んでいるだけなのに、なぜか感慨深い気持ちになりました。「ああ、あの時こんなに配当が出てたんだ」「この銘柄、売らなきゃよかったな」なんて、一つ一つの数字に記憶がよみがえってきます。
投資を始めた頃は、毎日のように株価をチェックして一喜一憂していました。でもこうして1年分をまとめて見てみると、日々の値動きなんて本当に些細なことで、大事なのは「続けてきたこと」なんだと実感しました。
e-Taxと格闘した夜に学んだこと
書類を集めたら、次は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で入力作業です。
最初は戸惑いました。「譲渡所得」「配当所得」「申告分離課税」……聞き慣れない言葉ばかり。でも、画面の指示に従って一つずつ入力していくうちに、「あ、これってこういうことだったのか」と少しずつ理解できるようになりました。
特に印象的だったのは、「損益通算」という仕組みです。ある銘柄で利益が出ても、別の銘柄で損失があれば相殺できる。これを知った時、「投資って、一つ一つの取引で勝ち負けを決めるんじゃなくて、全体で見るものなんだな」と改めて気づかされました。
焦って売ったり買ったりしていた頃の自分を思い出して、少し恥ずかしくなりました。投資は短期的な損得じゃなくて、長い目で見て資産を育てていくもの。確定申告という「1年間の総決算」をすることで、それが腹に落ちた気がします。
投資の本質は「自分のお金と向き合うこと」
確定申告を終えて思ったのは、この作業が単なる税金の手続きではなく、「自分のお金と真剣に向き合う時間」だったということです。
投資を始めたばかりの頃は、「儲かるかどうか」ばかり気にしていました。でも確定申告を通じて、自分が1年間でどれだけ投資したのか、どんな判断をしてきたのか、それが数字として見えてきた。そうすると、投資って結局「自分の人生をどう設計するか」という問題なんだと実感します。
例えば、配当金の明細を見ていると、「この会社の株を持ち続けていてよかったな」と思える銘柄もあれば、「これはもっと考えて選ぶべきだったな」と反省する銘柄もありました。そういう一つ一つが、次の投資判断につながっていく。
確定申告は面倒くさいと思っていたけれど、自分の投資を振り返るいい機会だったんです。
初心者の方へ：確定申告は怖くない
もしあなたが「確定申告って難しそう」「自分には関係ないかも」と思っているなら、一度チャレンジしてみることをおすすめします。
特定口座（源泉徴収あり）を使っていれば、基本的に確定申告は不要です。でも、損失があったり、複数の口座を持っていたりする場合は、申告することで税金が戻ってくることもあります。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」は思ったより親切で、画面の指示に従えば初心者でも入力できます。わからないことがあれば、証券会社のサポートや税務署に相談すれば丁寧に教えてくれます。
何より、確定申告をすることで、自分の投資を客観的に見つめ直すことができます。それは、次の1年をより良い投資にするための大切なステップだと思います。
まとめ
確定申告は、ただの税金の手続きではありませんでした。1年間の投資を振り返り、自分のお金と向き合い、これからの投資をより良いものにするための貴重な時間でした。
最初は「面倒くさい」と思っていたけれど、終わってみると「やってよかった」と心から思えます。数字の向こうに見えてきたのは、焦らず、シンプルに、長い目で投資を続けていくことの大切さでした。
もしあなたも確定申告をする機会があったら、ぜひ前向きに取り組んでみてください。きっと、投資に対する見方が少し変わるはずです。一緒に、学びながら進んでいきましょう。
