近所の喫茶店での出来事
先月のことです。いつも行く近所の喫茶店で、隣の席から投資の話が聞こえてきました。
「いやあ、あの銘柄、買ってから半年で30%も上がってさ。もう少し多く買っておけばよかったよ」
声の主は、年齢も私と同じくらいの男性。楽しそうに話す様子を横目で見ながら、私は自分のコーヒーカップを見つめていました。
自分の投資成績は…まあ、悪くはない。でも、30%なんて数字には程遠い。じわじわと増えているのは確かだけれど、地味なものです。
その日の午後、家に帰ってからも、あの会話が頭から離れませんでした。「自分の投資、間違っているんじゃないか」という不安が、胸の中でじわじわと広がっていったのです。
焦りが生んだ「迷い」
その夜、私はパソコンの前に座り込んで、いろんな銘柄を調べ始めました。
「もっと値上がりしそうな株はないか」「みんなが注目している投資先は何か」
気がつけば、2時間も経っていました。でも、調べれば調べるほど、何を選べばいいのか分からなくなっていく。それまで自分が決めていた投資の方針が、急に心もとなく感じられたのです。
翌朝、ふと我に返りました。「私は一体、何をしているんだろう」と。
人と比べて焦って、自分の投資スタイルを見失いかけていたことに気づいたのです。
投資は「他人との競争」ではない
投資を始めたばかりの頃、私はこう思っていました。「投資って、なるべく早く、なるべく大きく増やすものだ」と。
でも、それは違いました。
投資の本質は、自分の目的を達成するために、お金に働いてもらうことです。他人がいくら儲けたかは、本来、関係ないはずなんです。
例えば、こんなふうに考えてみてください。
- Aさんは、退職金を元手に短期で大きく増やしたいと考えている
- Bさんは、年金の足しに、毎月少しずつ配当をもらいたいと考えている
- Cさんは、10年後の孫の教育資金のために、じっくり育てたいと考えている
それぞれ、目的も時間軸も違います。だから、成果の出方も違って当然なんです。
Aさんの30%アップの話を聞いて、Bさんが焦る必要はありません。そもそも、目指しているゴールが違うのですから。
「自分の投資」を大切にする
あの日の焦りを経験してから、私は投資ノートに一言、書き加えました。
「人と比べない。自分のペースで、自分の目標に向かって進む」
投資の世界には、いつも誰かの成功談が溢れています。SNSを開けば、「○○万円儲かった」という投稿が次々と目に入ります。
でも、それに振り回されてはいけない。自分の投資は、自分の人生のためにあるのです。
私の投資スタイルは、地味でゆっくりです。でも、それが私には合っている。無理をせず、焦らず、少しずつ積み上げていく。それでいいんだと、今は思えます。
もちろん、他の人の成功談から学ぶことは大切です。でも、学ぶことと比べることは違います。
学びは成長につながりますが、比較は焦りを生むだけです。
読者のみなさんへ
もし、あなたも誰かの儲け話を聞いて、焦ったり、不安になったりすることがあったら、一度立ち止まってみてください。
「自分は何のために投資をしているのか」
「自分が目指しているゴールはどこなのか」
それを思い出すだけで、心が落ち着くはずです。
投資は、誰かと競うゲームではありません。自分の未来を、自分のペースで育てていく、そんな営みなのだと思います。
まとめ
あの日、喫茶店で聞いた儲け話は、私にとって大切な学びになりました。
人と比べて焦るのではなく、自分の投資を信じて続けていくこと。それが、長い目で見たときに、一番確かな道なのだと気づかされました。
投資の成果は、人それぞれです。あなたはあなたのペースで、焦らず、ゆっくりと。一緒に学びながら、前に進んでいきましょう。
今日も、コツコツと。それでいいんです。