あの日の嬉しさと迷い
夏のボーナスが思ったより多く出た日のことを、今でもよく覚えています。
銀行口座を見て、予想より10万円ほど多い金額が振り込まれていました。会社の業績が良かったこともあり、評価も少し上がったようです。嬉しくて、思わずスマホを握りしめました。
でも、その喜びと同時に、心の中にふわっと迷いが浮かんできました。「この増えた分を、投資に回すべきだろうか」と。
当時の僕は、毎月3万円を積立投資に回していました。投資を始めて2年ほどで、ようやくリズムができてきた頃です。収入が増えたのなら、投資額も増やすのが正解のような気がする。でも、本当にそうなのか。増やすとしたら、いくら増やせばいいのか。
その晩、僕はずっとスマホで「投資 増額 タイミング」と検索していました。
増額を迷った理由
なぜあんなに迷ったのか、今振り返ると理由がはっきりしています。
一つ目は、「増やした分が減ったら怖い」という不安でした。3万円の積立には慣れていたけれど、それを5万円や7万円に増やすとなると、心の負担が大きく感じられました。もし市場が下がったら、今よりもっと含み損を見ることになる。そう思うと、なかなか踏み切れなかったんです。
二つ目は、「今すぐ使いたいものもある」という誘惑です。ボーナスが増えたのだから、少しくらい自分へのご褒美があってもいいんじゃないか。旅行に行きたい、欲しかった家電もある。そんな気持ちと、将来のための投資を増やすべきという理屈が、頭の中でぐるぐると回っていました。
そして三つ目は、「増やし方がわからない」ということ。毎月3万円は自動で積み立てているけれど、増額するとなると設定を変えなければならない。それに、いきなり倍にするのか、少しずつ増やすのか、そもそもボーナス分だけ一気に投資するのか。どれが正解なのか、わかりませんでした。
投資額を増やすことの本質
結局、その時の僕は思い切って月5万円に増額し、さらにボーナスの一部(5万円)をスポット購入することにしました。全額を投資に回したわけではなく、自分へのご褒美にも少し使いました。
でも、この決断をする前に、僕はあることに気づいたんです。
それは、投資額を増やすことは「贅沢」ではなく「余裕の範囲内で未来に備えること」だということです。
収入が増えたからといって、生活費が大きく増えるわけではありません。もちろん、少しは自分を喜ばせることも大切ですが、増えた分を全部使ってしまえば、数年後も今と変わらない状態が続くだけです。一方で、その一部を投資に回せば、将来の選択肢が少しずつ広がっていく。
投資の世界では、「時間を味方につける」という言葉がよく使われます。長く積み立てれば積み立てるほど、複利の力で資産が育っていく。増額すれば、その成長がさらに加速する可能性があります。
ただし、無理は禁物です。投資額を増やしたことで生活が苦しくなったり、急な出費に対応できなくなったりしては本末転倒です。あくまで「余裕のある範囲で」というのが、僕が学んだ一番大切なことでした。
増額を考えるあなたへ
もし今、あなたが収入の増加や生活の変化で投資額を増やそうか迷っているなら、焦らなくて大丈夫です。
まずは、今の生活費と貯金のバランスを見直してみてください。急な出費に備える緊急資金(生活費の3〜6ヶ月分)は確保できていますか?もし確保できているなら、その上で余裕がある分を投資に回すのが安心です。
次に、少しずつ増やすという選択肢も考えてみてください。いきなり倍にする必要はありません。月3万円を4万円にするだけでも、年間で12万円の違いが生まれます。小さな一歩でも、続ければ大きな差になります。
そして何より、投資は自分のペースで進めていいということを忘れないでください。誰かと比べる必要はありません。増やすタイミングも、増やす金額も、あなた自身の生活と心地よさを基準に決めればいいんです。
まとめ
あの日、ボーナスが増えて迷った僕は、結局少しだけ勇気を出して増額を決めました。
それから数年が経ち、今では当時よりもさらに投資額を増やしています。最初の一歩を踏み出したことで、「増やしてみたら意外と大丈夫だった」という経験が得られたからです。
投資は、焦らなくていい。でも、立ち止まり続ける必要もない。収入が増えたときは、未来の自分に少しだけ投資してみるチャンスかもしれません。
一緒に、自分のペースで歩いていきましょう。